油彩手順5

油彩手順の記事が続いていますが皆さん整理できていますか。ちょっと世間で言うところの一般的な描き方とはちょっとズレているかもしれませんが名著をもとに僕が再現したものになっています。世界的にトップの画家さんが言っているので信頼できるものだと思います。
さて今回の記事は線描と塗りを両方使いながら描いていく技法です。まだ経験が浅い人だとしっかり線でモチーフの形を取ってから塗ることが多いと思いますがやはり欠点もあります。僕が思うところでは線だけではなかなか正確な形が見えてこないことです。塗ることでようやく「ちょっと太かったな」とかわかるケースも多いですよね。こういったことを踏まえて線と塗りで描いてみてもいいのではという考え方です。
過去記事で線できっちり描く方法をお見せしながら話のツジツマが合いません。ツジツマが合わないわけではありませんね。一つの描き方に縛られる「描き方がわからない」病は唯一無二の答えがないので完治しません。描き方がないことを知ることでより自由になれそうです。

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イエローオーカー、カドミウムレッド、ホワイトを混ぜた色で下塗りしました。少し変化がほしいのでコバルトブルーとビリジャンを混ぜた色も要所に置いています。白が画面全体に混ざるとデッドレイヤー(霧がかったモヤモヤした画面)になることが多いので下塗りで白を混ぜるのはリスキーだと思う人が多いですね。危ないことを試すのがスリリングでいい。無難な描き方しててもなんか停滞しているようでつまらなく思ってしまうのです。今回も一発描きなのでこの下塗りをしたあとフィニッシュまでいきます。



☆下塗りにホワイトを混ぜることのメリット
画面全体にまんべんなく白が混ざりソフトな印象の絵になります。白の混ざっていない色は生っぽいですがそれがなくなります。ただ絵が白っぱくれるリスクがあるので下塗りの色に食われないように絵具をしっかり乗せながら塗るのがコツです。

今回の描き方のキーワードになる線と塗りですがもう少し掘り下げていきましょう。線とは形を線で取る線描のことです。これはオッケーですね。塗りはMass Drawingと呼ばれるものである程度のエリアを持つ色面(トーン)で形を出す手法です。例えば黒い球。コンパスを使って線で形を出すこともできますし(線)、黒く丸を塗ることでもその形を示せます。(塗り)

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形を取ってから塗ったように見えますが最初にバーントシエナとウルトラマリンを混ぜた黒に近い色で髪、両脇、足と床の接地しているところにアタリをつけました。髪は頭部の形を塊(Mass)として固有色を塗っています。これが輪郭線ではなく、色面で形をとらえる見方です。(塗ることでその形を表す)そのあと軽く線描しつつ、背中と左腕のシャドウを塗りながら形を探っていきます。


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線と塗りを繰り返しさらに形を作っていきます。右腕近くの背景を濃くすることで前後関係ができました。明部側にも色味を加えながら固有色を塗って存在感を出します。
話は変わりますがデッサンでモチーフ意外の背景を塗らないデッサンがありますがあれはもったいないです。モチーフは周りのあるものとの関係で成立する部分が大きいです。背景が紙の白だとなんの関係性もないのでモチーフが出てきませんよね。背景もしっかり処理することでマッスの感覚を磨けます。むしろモチーフ内部よりそちらに重きを置くと絵が重厚になっていきますね。絵はモチーフを細かく描くのではなく、画面全体で最大限の仕事をすることの方が価値があるように思います。


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形がある程度定まってきたら明部側をさらに厚く塗り完成に向かいます。最後にハイライトをインパスト(盛るような厚塗り)で置き、要所を描き込んで完成です。インパストは絵具を消耗しますが仕方がないことです。そうしないと見せ場の強さが出ませんので。しっかり塗ってあげないと絵の方がもったいないです。



ユルユルの絵ですがサンプルなのでこのぐらいで。明日からお休みですがやることが多すぎて多すぎて。。。。Buenas noches.

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