アンダーペインティング(下塗り)

油彩で描くときは下塗りをどうするかでもうその絵の方向性が決まります。目指す完成イメージでどういった下塗りが最適かを考える必要があります。大きなバリエーションとしては以下のように分かれます。

・白いキャンバスのまま
・何かしらの下塗りを施したもの
一般的にはハーフトーンのグレー、茶系、その他色味を加えたもの
・本塗りをより簡単にするもの

白いキャンバスでまま描くメリットはなんと言っても発色の良さです。絶対不動のルールとして下地が綺麗なところに乗せる色は発色がいいです。下塗りを施すことはある意味これを放棄することでもあります。

ベタ塗りの下塗りは画面に統一感を与えるとか次層の絵具の乗りを良くするなどののメリットがあります。描くモチーフによってはピンクや青などの色味の持たせた下塗りも可能です。

今回のタイトルのアンダーペインティングについて。
アンダーペインティングというと下塗りよりも下描きの意味合いが強くなるような感じがします。具体的には形と明暗など画面を構築する仕事です。茶系の濃淡でされることが多いですね。こんな感じです。

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形とトーンが合っているとだいたい絵になってしまうとこのプロセスでしっかり画面構成ができれば大きな失敗はなくなります。しかしその代償として本塗りで色の自由がなくなるような気がして僕は色付きの下塗りをすることがあります。ウサギさんを描いてみました。

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もう少しラフに終わらすつもりですが描きすぎてしまいました。アンダーペインティングでは不透明な絵具は使わないようにしています。トランスパレンテ。透明層で塗るのがコツです。このステップで絵になってなかったら本塗りしてもあまり良い結果にならないでしょう。この絵はこれでフィニッシュですが下塗りが作品になることもあります。これ以上塗って絵が下降していくならこの下描きで作品とした方がいいという判断があってもいいと思います。描き終わるタイミングを知っているというか。このウサギさんもこのまま手を加えても多分具象性が上がるだけだと思います。
透明な絵具だけで描いているので白は使っていません。明るいところは綿棒にぺトロールをつけてふき取っているだけです。綿棒は油彩でよく使います。

指導中「よく観察してください」と言われたらどこを見ますか。ほとんどの人が細かい部分をよく観察すると思います。僕の質問は違います。描き込むために細かいディテールを見るのではなく、もっと大きな視野で良い絵にするために何が必要なのか、何を描くべきなのかを冷静に観察してほしいのです。これが本当のデッサン力だと思っています。描写力(細かいところを描く能力)があるのがデッサン力ではありません。

最近、描きすぎないことを意識しています。描こうとするとどこかに執着心が生まれる。この心理状態だと見えている以上に描こうとしてしまうんですよね。できるだけ力を抜いてモノを観ることはとても大事です。

やらなければいけないこと、気付いたことの確認などすぐにメモを取る癖がありますが休みの日をそういったことの研究でけっこう時間ないです。そんなことはめんどくせーってなったら進歩はありませんね。あきらめることを上手にできるようになってしまった人より、僕はもがいて上を目指そうとする人の方が人間らしくて好きです。

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