腕力

油彩になるとどうやって塗っていいのかわからないという人が多いです。
とその前に。
見えたものを描くことから始めましょう。頭から入ってはダメです。
たくさん失敗したデータがないと彩色手順の説明も理解しにくい。
「あのときこういうアプローチをしたから上手く描けなかった」の経験があるといいです。

彩色手順を理解するためのキーワード。固有色とシャドウです。
絵のベースになる2大要素ですね。
ここを曖昧な処理にするとその後の手順も上手くいきません。
皆さんベタ塗りを嫌がりますね。油彩の塗り始めは大きめの筆のベタ塗りが多いです。
これもなんか嫌ですね。絵がつまらなくなりそうに感じる。
もっと色を置かないと。もっと変化を与えないと。みたいな感じですか。
だから彩色手順で混乱するんです。一つずつしっかりやることが最短の近道です。
塗り始めの序盤は固有色とシャドウで絵の土台を作る。

固有色から。これのトーンがあっていることが前提。
チュラポで鉛筆デッサンをしている会員さんはもうオッケーですね。
まず物を固有色のトーンで分ける。油彩も同じです。
油彩に限らず全ての画材に派生する概念なのでしっかりおさえましょう。
なぜデッサンで学んだことを違う画材になると忘れてしまうのでしょう。
なんのためのデッサンなのか。
デッサンとペインティングの絵がガラッと変わる人はテクニックで上手く見せているかいつも同じモチーフで描き慣れているから上手く見えることが多いです。
デッサンとペインティングは連結している方がいいです。その方があらゆるモチーフや描く環境に柔軟に対応できます。

次にシャドウ。シャドウの形を的確に取るようにいつも口酸っぱく言っていますがそれだけ重要だからです。
ベース作りの段階でシャドウの形が取れていないとそのあとの細かい仕事ができません。

ハイライトや反射光などは固有色とシャドウのさらに小さい領域のことです。固有色とシャドウというエリアの中で塗るもの。
だからこの二つは早めにしっかり塗る必要があるのです。

あと油彩で描きにくそうにしている人に共通していること。
それは画面全体が同じような塗りの厚さになっているとき。
もう単純に言います。シャドウは薄め、明部は厚めです。玄人になるとこの法則は無視されますがある程度のレベルまではこの考え方でいいと思います。

薄め、厚めの意味していること。これは透明と不透明ですね。
絵具を最大限活かす方がスマートです。(不透明な絵具は薄く塗っても不透明。透明な絵具は厚塗りしても透明)
いつも言っていますが絵具毎の透明、不透明は覚えましょう。
めんどくさいと思って覚えないならもう何も言えません。

絵は理論的な理解と感覚のバランスが大切だと思います。
理論的な理解で攻めすぎるとかしこまったつまらない絵。感覚だけだと垢抜けない絵。(才能だけで突破できる人は例外ですが)
絵と頭の良さの関係を考えた時期があります。インテリジェンス(知性)よりスマート(賢さ)が絵ではいいような気がします。要は地頭の良さ。インテリジェンスは与えられた問題を解決する能力。スマートは現状の悪い状況を苦なく突破していく能力ですか。絵には他にも空間認識能力や色に対する感覚が複雑にからみあっているので一つのものを多角的に分析できる能力があるとかなり上のレベルの絵が描けると思います。

文章だけの記事だとつまらないので雑ですが一つサンプル。

IMG_3114.JPG

だいぶ話がそれましたがシャドウを塗りながら形を取ったセクションです。鉛筆は固有色から攻めますが木炭デッサンはシャドウからですね。これと同じことです。
この時点ではぐちゃぐちゃですし、色も汚いです。シャドウなので彩度は低くくていいでしょう。終盤あまりに汚く見えていたら彩度の高い色を乗せて回復させてあげればオッケーです。
こういうアプローチをすると形を見失うと思うでしょう。点と点で形が取れる能力があると以降のステップで形を取り直せるので問題ないです。この能力は木炭デッサンで養われます。油彩に限らずサラッと描けるようになりたい人は必須項目ですね。


IMG_3116.JPG

明部の固有色を乗せたセクションです。
シャドウの形を取る能力も大切ですが油彩では(明るくしていく画材全般に言えること)明部の形を取る能力もとても重要です。
シャドウの形を取れれば明部の形も取れるわけですが。
この辺がわからなければ油こねくりまわしても上手くいきません。素直にデッサンに戻りましょう。

明部の形を取るエクササイズに有効なのが有色下地デッサンです。なのでチュラポのワークショップに組み込まれています。
ベーストーンから跳ね上げていく透明水彩以外の画材で威力を発揮するのでおススメです。


IMG_3117.JPG

かなりラフですが完成です。ここまで乾かさずに一発で描きました。
ここのセクションは強気に厚塗りです。
最初のステップでは訳がわからない感じでしたがかなりはっきりしたと思います。
これまでのステップはベタ塗りが多かったと思いますがここでやっと暴れられる(タッチを残した塗り)感じです。
明部の方が情報量が多いので暴れられますね。
反対に言うとこれまでのステップは最後に伸び伸び仕事をするための布石とも言えそうです。
重要なこと。最初のステップでは暗く汚い色に見えますが明部を塗ることでそこがシャドウに見えてきます。ここをしっかり理解してシャドウを塗れることが鍵になります。



ちなみに白いYシャツの白に利きがいいのは描く前にキャンバス全体をグレーで下塗りしてあるからです。背景などに白い部分が所々残っていたらこの白はあまり利かないでしょう。これもデッサン力ですね。

こんな練習を仕事から帰ってコツコツやっていました。疲れて帰ってやるんですから気合です。
絵は描いてから学ぶ。学んでから描くでは順番が逆です。
とにかくたくさん描いて、ご自分と対話して絵を楽しんでください。

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