水彩の本来の姿

休業明けから一ヶ月、今月のレッスンが終了しました。久しぶりのお仕事で疲れましたが皆さん元気そうで安心しました。早速ですがたくさんのご入会もあり、また教室に活気が戻ってきたような気がします。

自分の研究も兼ねて巨匠の画集を見返していたのですが透明水彩についてちょっと気付いたことがあるので記事にします。

透明水彩というと皆さんどんなイメージを持ちますか。
・薄めで淡い絵
・にじみがあってきれいな絵
・水の中で色どうしが混ざり合うウェットインウェット

反対に透明水彩でやってはいけないルールみたいな固定観念をお持ちの人もいるようです。
・白、黒を使ってはいけない
・絵具を薄めずに塗ってはいけない
・にじませないといけない

絵は自由なのでルールはありませんね。
ルールはないのに自分だけのルールを作って描きにくくなっているケースも見かけます。

早速ですが巨匠の水彩を見てみましょう。まずはMariano Fortunyです。

fortuny_watercolor.jpg

ほとんどにじんでない。。。
昔の西洋の水彩画をお見せすると「これ水彩画ですか?」って聞かれることが多いです。
塗りの強さ、油彩のように描くアプローチによってそう思われるのでは。
そもそもアカデミックなデッサンをしてきたのでこういう水彩画になるのは当然だと思うのです。
いきなり大きくにじませたような水彩画だとデッサンとの一貫性がありません。理想は画材は変われど観方、観察の仕方は同じ。そうすれば画材を持ち変えてもストレスがなさそうです。
以上のことを踏まえると大きなにじみや色のたらし込みなどは数ある水彩の中の一つのスタイルと言えそうです。
CHULAPOではこの考え方を軸に水彩を指導しています。なので特にご希望がなければにじみぼかしよりしっかり塗ること、描くことをまずは学んでいただきます。これができればあとは本人の自由でにじませようがそのまましっかり描こうが新しいスタイルでいこうかが選択できるようになります。



もう一人巨匠に登場してもらいましょう。Joaquin Sorollaです。

sorolla_watercolor.jpg

やっぱりそこまでにじんでない。。。
描くのが早いので自然ににじんだだろうところはありますがにじみ優先で描いているようには見えません。
僕の中ではスペインに行く前から今回ご紹介したような絵が水彩だと思っています。そしてにじみを活かした水彩画が本筋の水彩画をくずしたスタイル。



欧米の人は小さい頃から美術館によく行きますが当然このような巨匠の水彩画を見ているのでしっかりと描かれた水彩画が基準になっているのではないでしょうか。
確かに彼らを見ていると油彩のようにしっかりと色を塗っていきますので薄すぎてもう一度塗るというジレンマも日本人よりずっと少ないと思います。もうお分かりだと思いますが濃く塗れるとフルトーンなので骨のある説得力のある絵になります。

僕自身はにじみがそんなに綺麗だと思わないのでそこまで意識していません。にじみなどの表面上のものより絵の中が美しくなってほしいと思いながら描いています。

話変わります。「上手くなりたい」についてです。
上手くなりたいとよく聞きますがでは上手い人はどういう人でしょうか。スラスラ描ける人が上手い人?上手い人を明確に理解できると上手くなるためのルートが見えてきそうです。上手くなりたいと思っているだけだと漠然としているのでもう少し具体的な策を立ててみましょう。ここからは絵を描かない人が見て上手いと言ってもらえるレベルのお話です。以下のことをマスターすればそこまでいくと思います。

・ある程度形を正確に取れる
絵を描かない人でも日頃見慣れている物が描かれていたら形の狂いに気付きます。こうなると違和感を覚えて評価基準の対象から外されてしまいます。抽象化した絵は別ですが。
形に対する感覚は形を取れる人にチェックしてもらいながら枚数でクリアするしかないです。ストレスがかかりますが上手くなりたいなら仕方がない。

・トーン(明度)を正しく認識する
言わずもがなですがビギナーのうちから「淡いデッサンが好き」とかなしにしてフルトーンでしっかり画面を作れるようになりましょう。「そんなに濃くしたくない」とかではなく目の前にある現象を忠実に再現する。これもストレスがかかりますが上手くなりたいなら仕方がない。

・カラーチャートの作成
楽しく描いて混色しながら色を覚えていくのが一般的だと思いますが時短でカラーチャートを作成しましょう。「彩度を落とすには補色を混ぜなさい」など他にも色についてはありますがカラーチャート作りは初歩的なことを一気に解決してくれます。これもストレスがかかりますが上手くなりたいなら仕方がない。

・画材に慣れる
これまで書いたことを身に付けても画材を扱えていないと水の泡になります。安い物でも人に借りててもいいのでひと通り画材を使ってこれだと思ったものがあったらその画材を習熟させましょう。先生に教わりながら、本で技法を試したりして手に馴染ませてください。この過程では失敗してもなんちゃって技法でもいいのでとにかく数多くトライすること。これは人によっては楽しみながらできますね。絵具ケチッちゃダメですよ。消耗品。ケチると上達の妨げになります。慣れてくると無駄な消耗が減ってくるのでそこまで我慢です。

とりあえずこんなところで。どうですか。ご自分に足りないものが見つかりましたか。
形が取れて、トーンも合って、狙った色が作れる。その上、画材をある程度自由に扱えたなら上手く描けそうな気がしてきませんか。良い絵になるかはわかりませんがきっと上手に描けると思います。
意外と寄り道をする人が多い。形を正確に取る練習をする前にパースの勉強に時間を使ってしまったり、狙った色を作る練習をしないでやたら配色ばかりに気がいってしまったり。上記のような基本を無視して紙の種類にこだわったりすることは上達するための着眼点がズレているような気がします。ストレスのかかることから逃げずにコツコツやる。一番基礎的なことから一つずつステップを踏んだ方が結局は近道になります。形を取る練習をするよりパースの本を読む方が楽。人間は悲しいことに楽な方を取りたがる。知識も大切ですが手が覚えないと意味がないので描く量>知識で進めていくのがいいですね。絵は上手くなるだけが全てではないので決して強制はしませんが上手くなりたい人は参考までに。時間がない社会人だからこそ寄り道せずに時短しながら効率的に上達したいものですね。

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