Head study

洋書を読むとなんとかスタディというサンプルがたくさん出てきますね。
これは日本語で言う習作です。日本の感覚よりさらに何か目的意識を持って特定のことについて学ぼうとして描く絵のことです。

本画と習作は分けて考えると枚数増えます。
いつも本画(残すことを前提にして描く絵)だとある種の緊張感がある中で描くことになりますが習作は違います。
なんでもリラックスした状態の方が何かを得やすいことが多いです。

僕がたくさん描いてくださいと言っているのは習作の絵です。
仕事で疲れて帰ってから本画を描くにはけっこう気合が要ります。
習作だと思ってればけっこう楽しく描けます。

ということで僕も教室から帰って少し描きました。
今週はハイキーの絵について考えていました。アカデミシャン上がりなのでキアロスクーロ意識していましたが最近考えが少し変わってより自由になった気がします。
キアロスクーロとはカラバッジョに代表される強い明暗対比で描かれた絵のことです。
一点灯での理解が進むと明暗がコントロールできるようになります。
明暗対比の度合いも。明と暗のトーン幅をどれだけ設けるかは描き手の自由です。

とりあえずサンプルを見てみましょう。

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マッスブロックインから形を取りました。
教室ではシンプルにブロックインで形を取るように指導していますがブロックインにもストレートブロックイン、マッスブロックインなど少し変化したアプローチがあります。
話すと長くなるので気になる人は調べてみてください。
下描きで使った絵具はバーミリオンです。
あまり下描きでは使わない色ですね。習作だからできる余裕。。。

白目部分もシャドウはグレーになるのでこの時点で少しトーンをつけておくと楽ですよ。
よく白目を全て白く塗る人がいますが目や鼻などに出るハイライトの方が強いことが多いので気を付けましょう。



今回は少し面白い彩色の仕方をご紹介します。
皆さん色を作りながら彩色していきますよね。
ではなく塗る前に全ての色をほぼ全て作ってしまおうというアプローチをしてみました。
これは欧米ではエクササイズとして当たり前でされています。
塗る前に色、トーンの関係を見極めることはとても大切です。
これができないと無駄な重ね塗りで色が汚れる、絵具の塗る厚みをコントロールできなかったりします。

油彩のひと筆は一つの面を成す。一つの面とは色とトーンを持った色面です。
これとても重要な感覚なので頭と手に刷り込んでください。
油彩をやる前提での基礎デッサンには木炭が使われますね。木炭は面で描くからです。
よく面の捉え方がわからないと言われますがこれはデッサン不足です。

で、作ったパレットがこんな感じです。
サンプルはわざとハイキーで描く練習も兼ねています。
ハイキーってわかりますか。グレースケールのより明るい部分を使って描くことです。観えているトーンより意図的にワントーン上げて描く技法です。
カラオケのキーに感覚が似ているかもしれませんね。原曲のキーより高い声で歌う。
原曲で歌えない人はハイキーでも歌えません。デッサンも同じ。再現デッサンがある程度のレベルにいってないとかっこつけてハイキーで描こうとしてもお話になりません。

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習作なんで適当ですが上のパレットで使った色を紹介しておきます。

(左から)チタニウムホワイト、イエローオーカー、バーミリオン、コバルトバイオレット、バーントアンバー、ウルトラマリン

上下でラインが入っていますが明部で使う色とシャドウで使う色で分けています。



いざ彩色です。

auto_UKoQJn.png

参考までに色面パッチを加えてありますのでどこでどの色が使われているか見てみてください。

白人さんの肌色に悩む人が多いですが参考になれば嬉しいです。
コツは紫色の使い方かもしれません。

塗る前に色、トーンをしっかり把握できていると描くのが早くなります。描きながらまごまご悩むと描くのが遅くなります。

額などの明部で張っているところはナイフを使っています。
とその前にその明部のナイフ以外のところ(下層)をしっかり構築することが大切です。これがないと明部の見せ場での仕事ができませんからね。油彩はトーンの低いところから高いところへ。

余談ですがこの絵は画布(下地処理した木枠に張られていないただの布)を画板にテープで留めて描いています。習作ですからこれで充分です。

このサンプルも一層描きですが同じような内容でワークショップを企画をしています。ご覧の通り多分難しいでしょう。
油彩経験者だけの募集になりますのでやりたい人は枚数こなしておいてくださいね!

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