ステンレスを制す!

ステンレスやガラスなど質感の強いモチーフがセットされるとドキッとしますね。大丈夫です。

一般的な指導カリキュラムとして簡単な石膏像からスタートしますね。明暗など光が物に当たったときの現象をじっくり観察して基本的なトーンの付け方を学びます。
が、しかし!ステンレスなどの金属やガラス類にはこの法則だけでは通用しないので困惑する人も多いです。ガラスについては表面反射、透過光、内面反射などもう少し複雑なので今回は金属に絞ってお話します。

究極を言うと観えたまま描ければ問題ないのですが指導者としてはいけませんね。口で説明できてなんぼです。

金属らしい質感を出すにはハイライトと映り込み(鏡面反射)、大きいトーンの幅がカギです。具体的に見ていきましょう。

☆ハイライト…表面の滑らかさで違いが出る!
卵や石膏像では表面がザラザラしているためハイライトもぼやけて大きめに広がります。反対に金属は表面がツルツルしているのでハイライトは一般的に小さく鋭くなります。この知識だけでも卵とビリヤードの玉の質感に違いを出せます。下の写真では左から順にツルツル度合が強くなっています。ハイライトはおおまか光源の映り込みなのでものすごくツルツルの物だと光源自体が映り込みます。(一番右の写真)

auto_XPHQha.jpg

auto_NShOeS.jpg

auto_n6EiE3.jpg



ちなみに一番右はポルシェ356で僕の大好きな車です。髭をたくわえたオジサンが一人でこの車を転がしているのがとてもかっこ良くて憧れます。いつも壁紙にはポルシェ356です。いつか必ず手に入れてやるというのを自分に刷り込んでいます。絵でも同じで必ず愛犬を上手く描いてやる、あの人のように描けるようになりたいなどと憧れや野心を持つことはとても大切だと思います。「できるかなぁ?」でできるようにはなりませんよね。
有名な画家さんを崇拝する人がけっこういますが、「あの人みたいに描けるようになりたい」ではあの人以下止まりです。もしかしたら「あの人より美しい絵が描ける可能性がある」のに勿体ないです。「あの人」を参考にご自分の美を追求してみてください。

野心がある人が大好きです。良い野心ですよ。笑
野心のある人と話すのは楽しい。打算なく本当の自分のまま前向きに生きている人は美しいです。
先輩方の絵を観ると絵には生き様が出てしまうのでそこから鍛えていかないとダメだなと常々思っています。技術やテクニックでどうこうなる問題ではなさそうです。

話をステンレスの描き方に戻します。

○映り込み(鏡面反射)…表面がツルツルなほどはっきりと周りの物が映り込む!
ステンレスでも研磨すれば鏡のような映り込みになります。ステンレスミラーという商品もあるぐらいです。映り込みをどれだけはっきり描くかでどのぐらいツルツルの物かを表現できます。下の写真はは古びたポストと新品のスプーンの比較です。ポストは周りの物がぼやけて見え、スプーンは床の模様がはっきり見えます。

○トーン差が大きい
白い物や黒い物など周りの物が映り込んでくるので当然トーンの幅が大きくなります。(下写真の一番右)

以上3つをまとめると…
ハイライトを小さく鋭くするほど、映り込みをはっきり描くほど、トーン幅が大きいほど金属っぽく見える!

auto_j0c0lK.jpg

auto_K6nowZ.jpg

auto_ZA6jFB.png



☆描くときのコツ
金属などは映り込みの影響が大きく、石膏像のようなはっきりとした物の中にあるシャドウや繊細なトーン変化が見えにくい状況になっています。しかし金属は光を透過する材質ではないのでシャドウはあるはずです。いきなり映り込みを描こうとする人がいますが描き方のコツとしては映り込みを無視していつものようにモデリング(明暗の構築やトーン変化)をしたあとで映り込みを描き込んでいくのが手筋のようです。映り込みを描いていく中でトーンが乱れてしまうときがありますがそのときも一度モデリングを見直すといいでしょう。

あともう一つのコツです。一般的にデッサンで使用されるサンフラワー画用紙は目が粗めです。弱い筆圧だとザラザラしたトーンになり、ステンレスのツルッと感が出ません。そんなときはなるべく硬い鉛筆で筆圧を上げて擦り込んであげてください。均一でムラのない線で紙の芯までしっかり引いてあげましょう。「紙の目を潰すな」という指導をされているかもしれませんが、観たモノを再現するためには無視しましょう。どうしても筆圧が弱い人がいますが対応する方法があります。ティッシュで擦り込んでください。ティッシュでこすると煙のようにぬるくなりますのでその上から鉛筆でトーンをつけるのを忘れないようにしましょう。

チュラポのモチーフにはわざと古くくたびれた金属のモチーフをセットしますがそれはきれいな金属製品との映り込みの強さの差を体感してもらうためです。適当にモチーフをセットしているように思われるかもしれませんが皆さんが楽しく描けて上達できるように工夫しています。

○上達のコツ≒努力
「忙しくて絵が描けない」ということをよく聞きます。
仕事や家事で皆さん忙しいですよね。忙しいのが普通です。ニートでもない限りのんびり絵を描く時間を作るのは難しいです。
ただ忙しくもやってる人はやっているのです。
僕も仕事から帰って絵を描いていたので忙しくて描けないという感覚がわからないのですが。。。仕事が3ヶ月休みなしなのに時間を見つけては絵を描いていたり、会社勤めをしながらでも毎年個展をしている友人がいます。
そういう人達が上のレベルに上がっていくような気がします。
忙しくて描けない。本当に忙しかったら泡食って忙しいなんて言えません。慌てていて忙しいという意識すらないと思います。忙しいと言えるのはまだ余裕がある証拠では。
才能の差はあれど描いた枚数は嘘をつきません。というか才能がある人なんてそういません。才能がある人でも世界には才能がある人がたくさんいますので努力は必須です。地球儀で見たら日本なんて小さな島国です。
SNSで遊んでいたりスマホでゲームをしているのに忙しいはなしですよ。
絵を描く時間を作るために忙しくしましょう。

僕はまだ知らない美を見つけに努力しますよ。
美しいものに包まれると本当に幸せをな気持ちになります。

コメント


認証コード0171

コメントは管理者の承認後に表示されます。