タッチのリズム

最近また油彩で描くのが楽しくて嫌になってしまう日々です。描けば描くほど発見があってもっと試したくなる。こんなに楽しいことに没頭しない手はないでしょう。前記事で部屋を整理したことを書きましたが当然スペイン時代に描いた絵もじっくり見返しました。今も下手ですがひどいなーと改めて実感。ただ良い物は感じる。自分で言うのも変ですが教室始めた頃より感じる絵を描いていたなという印象です。教室始めた頃は生徒さんのお手本になるように努めてきましたがつまらない絵になっていたような気がします。まぁレールに沿った生き方はつまらないわけで。

油彩初心者が上手に描ける指導法に手応えを感じました。僕の指導をハイ!ハイ!(私はこう思うとかはなしで)と聞いてくれる前提ですが基礎デッサンと透明水彩の上達を達成できれば油彩はスムーズに扱えるようになります。今まで様々なアプローチで指導しましたが多分これが一番最短最強かもしれませんね。基礎デッサンと透明水彩の上達ということでしたがこれ皆さん嫌がるところですよね。頑張りましょう。

ざっくり描くためのアプローチはけっこうご紹介していると思いますが追加事項です。

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その辺にあった絵具で適当に描いたので色が合っていませんがニュアンスだけ理解してください。簡単に描くときはトーンの数を絞ってあげればいい。固有色、シャドウ、ハイライト。これで3トーンです。これでいくならこれ以上は使わないようにしましょう。逆説の解釈になりますとトーンと色が細分化されるほど具象性が増すということになります。

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この絵のようにタッチの残ったリズミカルな絵が描きたい人は多いです。ビギナーがいきなりこう描きたいと言われても困ってしまいますがアドバイスできることはあります。僕はトーンだけで描いています。たとえばドアの部分は濃いですよね。ドアを描いている意識はほとんどなく、ただ暗い色の四角い部分です。
もう一つ。左上に空の塗り残しがありますね。アラプリマですから最初にこの濃い色を下塗りとして塗ってあったということです。黒に近い色なので空色を塗ったら濁ってしまいそうですが大丈夫です。下の色を食わせないで塗る技術が身に付けばできます。たくさん練習するとできるようになりますよ。その塗り残しですがほとんどの人が「空色でしっかり塗らなくては」と思いませんか。塗り残しがあったっていいじゃないですか。絵なんだから。一つ一つ小綺麗に塗ったら大変よくできました賞はもらえるかもしれませんが見る人が見たらイマイチかも?
どんどん抽象化させて鑑賞者にその風景の空気感を想像させてあげればいい。首根っこ掴んで説明したような絵が嫌いでどう解釈しようが鑑賞者の自由ですよね。これらは僕の意見ですが1枚の絵からいろんな感情を隆起させるような絵がいいですね。

技術的な部分の説明もした方がいいですよね。この絵は下地なしのアラプリマですが混色した茶色で下描きしました。下描きと言っても物の形を輪郭で取るとはちがいます。茶色でデッサンしてから彩色です。よくあるのがバーントシエナで明暗構築してから彩色する方法ですがこれって下描きした時点で一回乾かしますよね。僕も最初はそうでした。それがいつしか乾かすのがめんどくさくなっておかまいなしに本塗りする描き方に変わりました。
風景画には大きいタッチと小さいタッチを意識的に使い分けるといいかもしれません。たとえば手前の芝生はゆっくり慎重なタッチでゆったりと。建物左の柵も制御した狙った線で表現しています。
この絵を見た印象では勢いに任せた即興で描いた絵に見えると思います。これ大きな勘違い。勝負所の描きところはゆったりです。じゃないと絵になりません。巷には勢いのあるタッチで描かれた絵がけっこうありますが描くところは慎重に描いてますよ。

今月ももう終わりで師走ですか。僕は走らない師なのでゆったりと描き続けます。

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