風景の大きな観方

最近手首が痛いので今日は休養日にしました。痛むのは親指付け根ですが皆さんは傷めたりしていませんか。画家さんが傷める箇所はだいたい首肩腰と手首が多いですね。長時間労働なので仕方がない。しっかりケアしてあげましょう。僕はちょっと前から猫背矯正ベルトをしながら指導していますがけっこう楽になります。

引き続き風景画について考えていました。昨日は描いていたのですがまた発見があって楽しめました。そう。発見。皆さんは1枚の絵から何個ぐらいの発見がありますか。単純に発見が多いほど上達の栄養になります。気付けるか気付けないか。考えて解決しようとするか、しないか。「上手く描けない。。。エヘヘ」では僕もエヘヘとハニカムしかないです。

前記事と重複するところがありますが復習も兼ねてお読みください。なんでも1回読んだだけではなかなか理解できないことも多いです。同じことを角度を変えて何回も学ぶことで習熟するような感覚を持って日頃から取り組んでいます。まずは基本的な部分から。

auto-3DRmhq.jpg

ザ・風景という感じの写真です。透視図法についての参考写真になります。

auto-xWKsdu.jpg

このようなパースラインが読み取れましたか。遠景のぼんやりした雰囲気に目がいきがちですがこのパースラインを上手に利用することで広大な田んぼを表現できそうです。色のついてラインをしっかり取れるかどうかが成功のカギです。風景を描くときに最初から物を見る人がとても多いですね。どうしても物を見てしまう。僕もそうなので意識的に空間を見るようにしています。空間の中に物がある。

auto-K999DF.jpg

この写真にもパースラインがあります。赤いラインを引いているから「なるほどね!」となりそうですが線がなかったらただの土の平地です。ここでも同じで木や雲に目がいきますが空間を見ましょう。
雲についても面白いことがあります。黄色のラインは上から近景、中景、遠景と分けたものです。近景の雲の明暗差は大きい。雲のシャドウがけっこう濃いです。遠景の雲の明暗差は弱い。これは空気遠近法によるものです。遠くにいくほど明暗のコントラストが弱くなる。これでも遠近感を出せそうですね。

auto-EwCnN9.jpg

丘を描くこともありそうなのでご参考までに。普通の風景と違うところは地面に隆起があるかです。なんでも面で見るといいです。赤いラインのような基準線が見つけられるといいですね。面が分かれば光源に対してトーンを調節してあげればいい。もう本当に基礎デッサンの内容で箱や小さな石膏像をなめて描いてはいけません。小さな積み重ねはやがて大きな力になる。定番ですが核心をついてますね。

auto-E3K5ZE.jpg

面白い構図ですね。基線が斜めに走っているケースです。人間は斜めに対して不安感を覚えますがそれはスリルでもあります。家が傾いていては困りますが絵にはこういった遊びが鑑賞者の興味をそそります。

auto-uzqDXx.jpg

先ほど空気遠近法のコントラストの違いについて触れました。もう少しわかりやすい写真がありましたので見てみましょう。遠くにいくほどコントラストが弱くなるですね。赤いラインがそれを示しています。最後の方では明暗差がほとんどなくなり薄いグレーのシルエットになっています。絵が難しい理由の一つとして描いているときはそこの1点しか見ていないことです。絶えず全体としてそこの部分がどのぐらいの強さのコントラストなのかを確認しながら描き進めましょう。
また余談になりますが例えばこういった空間についてのことを学ぶ前に木の描き方などを上手くなろうとする姿勢についてです。遠くにある木でコントラストが弱いのに知っている知識やテクニックでその場に見合っていない木を描いてしまう。しっかり描く木は焦点エリアにある木などでしょう。遠景の木にはそれなりの描き方があると思うので厳密な所謂「木の描き方」はないような気がします。木の描き方を学んだのにどうもしっくりこない人はこの辺を疑ってみてください。

auto-qsQpJv.jpg

赤いラインのように近景、中景、遠景を分けるメリットの一つとして彩度コントロールしやすくなることが挙げられます。空気遠近法でよく言われるのが「遠くの物は青味がかる」ですね。このことを逆手にとると「近くの物は暖色がかる」になります。この写真では近景と中景の明るい緑ではそんなに違いがありませんがそれでも近景の方が鮮やかで暖かい感じがします。

auto-bDCGdU.jpg

風景に人物を描くときによくされる質問があります。人物の大きさがわからないです。平らなところ(描き手と描こうとしている人物が同じ高さ)のときのアイレベルは水色の水平線になります。頭の位置は同じとなります。人物の長さだけ遠くにいくほど小さくなるので覚えておきましょう。
この写真の遠近感を出しているのは外灯の1点透視図法でしょう。一番手前の外灯クッキリ感と遠景の緩いトーンの対比も助けてそうですね。
黄金色の光源が強いですね。もうこうなったらイメージする固有色の概念(柵は黒っぽい鉄だ!など)を捨てて見たままの色を塗ってあげましょう。

もう暑くならないかな。しっとりとした秋を堪能しながら伸び伸びアートしましょう!

コメント


認証コード0274

コメントは管理者の承認後に表示されます。