遠近法の実践

先日、風景画の遠近についての記事を書きました。まだ読んでいない方はご覧頂いてから今日の記事を読むと理解しやすいと思います。
ビギナーが風景を描くときに描写に執着する人がほとんどだと思います。木を上手に描けるように、山を上手に描けるように。個別の物を上手に描けるようになれば風景画は上達するはずだ。木などを上手に描けるに越したことはないのですが画面作りの方が大切だと思います。

今日はお休みだったので練習がてら描きました。

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板に油彩です。サイズは30cm角。
この絵は遠近法の要素がたくさん盛り込まれています。なんてことない風景でもなんで遠く感じるのか、その理由を探る必要がありそうです。何も考えずに見たまま描いているだけではなかなか気付けないことです。では一つずつ見ていきましょう。

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画面を3つに分ける原理です。赤線は水平線(アイレベル)で黄色は砂浜と海を分ける線です。アイレベルを意図的に画面の高い位置に設定していますがもう少し高くてもいいかな。正方形の板なのでまぁこの辺で。ちなみに「目の高さであるアイレベルと地平線は違うのですか」という質問があります。サンプルのような環境だと同一のものとしていいと思います。例えばホテルの5階から風景を描くときなどはアイレベルと地平線は別に引いた方がわかりやすいです。

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1点透視図法ですね。見えない線を探すことがとても大切です。黄色の線がA型ラインともいわれます。サンプルではそれを少し応用した点線の方ですね。少しカーブしたライン取りになります。

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オーバーラップ(重なり)です。中景の岩場と砂浜のリピートになりますが岩場のトーンがロー、砂浜がハイになります。この繰り返しで奥感が出ます。こういったところをしっかり処理して前後関係を示してあげましょう。絵であまり役しないところにエネルギー使わないで大切な箇所をビシッと締める。

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まずは黄色の2本から。これは手前(近景)にくるほどタッチが大きくなる原理です。当たり前ですよね。バスも近くで見ると大きいですが遠くのバスは小さいです。
空の赤線。これはグラデーションです。フラットな塗りは空間が生まれないのでなんらかの変化を与えてあげると距離感が出ます。

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基準線ですね。これも見えない線ですのでイメージで把握するしかありません。右脳モード。。。

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「遠くの物は小さく描く」です。

とりあえず遠近に関してはこんなところです。
この絵の焦点は中景にある岩場にしていますがそのディテールを。

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恒例の何が描いてあるかよくわからないですね。僕は抽象画家なのでこんな感じです。ここだけナイフ使いました。アラプリマで描いたのでナイフを使うと厚塗りできます。油絵具は厚塗りしたところの主張が強くなる。描き始めから絵具ブリブリではなく勝負所でその強さを発揮しましょう。

ご覧のように絵はけっこう学ばないといけないことが多いのです。上手くなりたいなら努力しないと。絵の専門用語をしっかり覚える、枚数が足りないなら隙間時間を見つけて描く。その繰り返し。お描きではなく、絵画を学問する。

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