油彩のマチエール

油彩ではしばしばマチエールという言葉が使われますね。ビギナーは絵具を溶いて描くばかりになってしまいますがマチエールにこだわるとまた別の世界に突入していきます。

まずマチエールとは何?ですよね。
簡単に言うと画肌、絵肌のことです。もっと言うと絵に凹凸を出して表現するためのものです。
やり方で一番最初に思い浮かぶのは下描きする前にキャンバスに何かしらの下地材なりで画肌を作ることでしょう。漆喰調になるものや砂を混ぜたり色々なアイデアがあります。

とその前にマチエールのもっと根本的な部分を考えてみましょう。油彩は厚みのある画材なので写実を除いて基本的にはタッチが残りますよね。
僕はこのタッチがマチエールの原点のような気がします。マチエールは鑑賞者に普通に描く以外の付加価値を与えてくれますがタッチにもこうした効果があります。スピードのあるタッチ、ゆっくりねじるようなタッチ、短いストロークのタッチなど。タッチによって絵が変わります。激しいタッチで描くと迫力が出ますし、ゆったりしたタッチだと物静かな絵になります。意識的にタッチを変えて描くといつもと違った絵になるので何か発見があるかもしれません。

最近細かく描きすぎる自分が嫌でわざと雑に曖昧に描くようなアプローチをしています。今日の1枚をご覧ください。

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形を取ってから少し塗り始めた段階です。3つのトーンで大きく全体を分けて様子をみました。背景にやや濃いめ、モデルがハーフトーン、ベッドの白い布が一番明るいゾーンに設定しています。モデルの左脇は形をしっかり出そうと思っていたので黒に近い色でコントラストつけています。このセクションでもスケッチと言えばなんとなく絵になっているような気もしますが彩色にいきましょう。

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一層描きなのでグイグイ色を乗せていきます。白いシーツはサージェントのタッチを真似てみました。フィルバートの筆で流れるようなタッチ。憧れます^^ 色も少しずつ変化させたり。
もともとタッチを残すタイプの絵を描いていますがタッチのマチエールがなんとなくイメージできましたか。タッチがあると活気やリズムが出ますし、置ける色も増えてきます。もし仮にこの絵にタッチがなくてツルッとしていたら平凡だったかもしれません。

絵を仕上げるときにいつも自分に投げかける質問。
「あと何をすれば絵がグッとよくなるか」

これとっても大事。絵は疲れたから、もう描くところないから終わりじゃないんですよね。ここの考え方が変わるだけで絵がネクストステージにいきます。あと何をすればいいかわからないと言われてしまいそうですがこの勘を養うコツはたくさん描くこと(失敗した経験も含め)とたくさん良い絵を見ることです。プロの画家が手直しすると絵がガラッと良くなりますがこれを知っているからです。

最近モチーフを上手に描こうと思わないで絵の雰囲気を優先するようにしています。細かい描き込みの上手さより壁に飾ったときの絵の雰囲気の方が価値があるように思うのです。色にこだわり始めたのもこのためですが色の持つ心理的効果は大きいです。

コロナで世間が暗くなっていますね。不安なとき、緊張しているときこそ絵を描きましょう。家の中なら安全です。絵を描くと心が落ち着きますよね。嫌なことばかり考えないでただ絵を描きましょう。きっと描くことが不安な気持ちを癒してくれると思います。
僕は皆さんに絵をお見せして少しでも心休まる時間をご提供できれば嬉しいです。アートって素晴らしい。

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