カテゴリ:色

カラーチャート作成

生徒さんのためにカラーチャートを作りました。言葉だけでは混色してできる色のイメージが湧きにくいですよね。目で確認できるのは大きいです。皆さんに共通していることは緑の混色が難しいようです。お花や風景を描くのが好きな人は必須の色になりますので攻略したいものです。ではチャート作成の様子から。

auto-R7JO54.jpg

完成はこんな感じです。今回は教室にある油絵具を使いました。

○使用絵具
パーマネントイエローライト、パーマネントイエローオレンジ、イエローオーカー、ブライトレッド、クリムソンレーキ、バーントシエナ、コバルトバイオレットライト、ビリジャン、コバルトブルー、ウルトラマリンの10色とシルバーホワイト

auto-r6nY0y.jpeg

やるときはきちっとやった方がいいですね。適当な準備だと適当な成果しか出ません。まずはマスキングテープで1.5cm四方のマスを作ります。マスキングテープも5mm幅のものなどが売られているのでお好みでチョイスしてください。


auto-TccXna.jpeg

チャートは1色を基準に作りますが例えばブライトレッドならそれをイエローからブルーまで一つずつ全て混色していきます。色が混ざり合って変化する様をじっくり味わうのがコツです。筆だと洗うのが面倒なのでペインティングナイフを使うといいです。ナイフの使い方も自然に身に付けることができます。何百回も塗れば誰でも上手になりますよね。ここからいくつかのトーン変化を与えたのが縦の列です。この段階ですでに50色程度の混色を体感することができます。全部やると絵具けっこう減りますよ。色に満足できないで何十年も描き続けるよりコスパは良いと思います。


auto-R7JO54.jpg

○カラーチャートを作ることで理解できること
チャートを見ながら確認してください。ものすごくシンプルなところから入ります。皆さん緑は簡単に作れますよね。左上はビリジャンのセットで右下はコバルトブルーのセットです。コバルトブルーのセットではパーマネントイエローライトとコバルトブルーの混色で緑になります。しかし結果から見るとビリジャンの方が緑が変化したとしても綺麗な色になります。コバルトブルーも綺麗な色なので問題なさそうなのですがこれだけの違いがあります。普段の混色ではその色しか見ていませんが他の色と並べて見ると気付くことが多いです。左側中段はバーントシエナのセットです。かなりくすんだ色のグループです。茶色はなんとなく安心感のあって中間調の色なので使う人も多いですがくすみやすいリスクもあることがわかりました。色によって変化の幅も違います。紫はだいたい似たような色のセットですがビリジャンやオレンジは色の変化にけっこう幅があります。こういったことは本で読んでもピンとこないので自分の手で体感するしかありません。このチャートの色数は少ないですがすでにイエローオーカー、テールベルト、ターコイズにかなり近い色が含まれています。やれば分かると思いますが色はほんの少しの加減で変化します。これは白絵具を加えたときも同じで少しでトーン変化します。このことから筆はなるべくきれいな状態で使う方がいいということです。筆を洗うのが面倒臭いと言っている場合ではないですね。

○彩度を落とす方法について
チューブから出した絵具、もしくは1色のみの混色のとき色が鮮やかすぎることが多々あります。そんなとき「補色を混ぜなさい」と教わります。それで一通りの補色を覚える。これだけでも混色の幅がグンと広がります。ただ補色しか彩度を落とす方法を知らないと厄介なときもあります。例えば赤の彩度を落とすときは補色の緑となりますが赤に茶色を混ぜても彩度は落ちます。彩度が落ちる道筋が違うのです。補色のみだと色の変化が直線的すぎる。マンセル色立体を空間で見る感覚がいいと思います。斜めにも色を変化させてあげるイメージです。

カラーチャート作りをつまらなくてしんどいと思うか、今まで見たことのない色に出会えることに喜びを感じるかはあなた次第です。僕はもちろん後者。誰のためにやる?全て自分のためですよね。向上心がエネルギーの源。人が見ていないところで努力できる人はなかなかいないかもしれません。今だからブログでやっていることを公にしていますが前までずっと隠れてコソコソやっていました。多分他にも隠れて日々努力している人はたくさんいるのではないでしょうか。絵なんて結局自己満足でしかなくて、他人が評価しようが自分が納得できないとダメなんですよね。

このカラーチャート作成は面倒臭いですし時間もかかりますのでなかなかやる人はいません。でもやっている人はやっている。こういったチャートを見せると本で見たことがあると思うかもしれません。人が作ったものを見ただけでは自分の中に入ってきませんので実際描いたときに活きてこないでしょう。自分で作らないと。色彩理論などの本を読むことも勉強ですが手と目を動かした方が感覚を磨けます。なんでもしんどい方を選ぶといいと思います。

チャートを作って気付いたことがたくさんありますが少しご紹介します。

・色は白を混ぜてトーンを上げるほど各色の色味の差がなくなる
白を混ぜる前ははっきりと色が分かれていますが白を混ぜるほど色の差が近くなります。

・ほとんどの色が一般的に主軸として使われている絵具で作れる
三原色でフルカラーが作れる神話みたいなものがありますが無理ですね。僕のパレットは常用で13色程度ですがターコイズもラベンダーもバーミリオンも混色で作れます。ゲストカラーを入れても15、16色です。

・ほぼ黒に近い色でも白を混ぜるとその色味を発揮してくる
混色で割と簡単に黒に近い色が使えます。制作中、黒に白が混ぜってくると色が汚くなってきますが混色で作った黒は白が混ぜっても綺麗なグレーになる

他にもありますがこのぐらいにしておきましょう。
このカラーチャートを作るきっかけになったのは自分の色感の悪さに嫌気がさしたからです。あとパレットを変えたのでそのコンビネーションを試すためです。家でもカラーチャートを作って基本から見直しています。もうすぐ完成しますが全部で約1000色です。腕がパンパンですし目を閉じても四角いマスが浮かんできます。僕のパレットは秘密なのでお見せできないのですが壮大な景色となっています。

カラーチャートの使い方なのですが完成したら終わりではないんですよね。作りっぱなしだとチャート作りのためのチャートだけになってしまいます。描くときは常に隣に置いて色をチェックするといいです。より実践的な方が身に付きます。
あとなんとなくボーッと見つめているだけでも色々なことが学べますので普段見えるところの壁に貼っておくといいですね。

このチャート作りは時間がかかるので無理に作る必要はありません。色を上手に使えるようになりたい人はやってみてください。いきなり全色だと負担になると思うのでとりあえず苦手な色を1セット作るだけでもいいです。でも何か発見があると思います。この発見が楽しければ他の色でもやってみましょう。

コメント


認証コード3137

コメントは管理者の承認後に表示されます。