CHULAPO展の作品1

展覧会が終わりましたのでKenito作品をご紹介します。
3点出展しましたがそのうちの1点です。他の2点はまた別の記事で書きます。

とりあえずご覧いただいてから解説に入ります。

auto_C9uil4.png

透明水彩で柿を描きました。
カフェでの展示なので小さめです。20cm×20cm(ホワイトワトソン)。
濁った絵にしたかったのですがその理由は指導の一部でもあります。

透明水彩で色を濁ることを極度に怖がる(嫌がる)人がいます。
局所的に見ればかなり彩度が低いですが絵としては成立していると思います。
透明水彩を上手くなりたかったら汚れることを恐れないことがとても大切です。汚れることを恐れると描き切ることをしなくなります。負荷がかからないうちに腕立て伏せをやめてしまうようなもの。
「これ以上触ると汚れてしまうから。」習作なんだからいいじゃないですか。ダメな状況から復活させる腕力も透明水彩ではとても大切です。
色が好きな人は汚れることを余計に嫌がります。
反対ですね。汚れているところがあるから他の色が綺麗に見えるのです。
ファーストウォッシュで置いた綺麗な色を繊細に残して他を汚していくイメージ。制作途中でパニックになっても綺麗な部分を筆でまたいではいけませんよ。

指導では重ね塗りは3層程度までと言っていますがこの絵は10層以上しています。途中スプレイヤーで洗い流したりもしています。オリーブグリーンのような色を気に入ってくださった方が多いですがこの色を出すのはけっこう苦労しました。

少しめずらしい黄色の柿ですが上の柿の彩度を意図的に少し高くしています。あとその柿の上下の葉も他の葉より緑の属性を保持しました。10層したと書きましたがこの三つ以外のところのことです。すこーしずつ、すこーしずつ薄い色を重ねて彩度を下げていきました。何層も重ねて洗い流したりもしているとなんとも言えない複雑なテクスチャもできます。紙に染みついて抜けない色がありますがそれらが積み重なった結果です。ナイロン筆は意外とコシが強いので何層もしていると紙が傷んできます。コリンスキーを使うとかなり紙が持ちます。筆は良いの買った方がいいです。

画面内に大きなカゲがいくつも落ちていると思いますがほとんど僕が勝手にカゲをつけています。絵作りのための加工。実際とは違います。いいですよね。絵は自由だから。
あとこの絵が柿に見えなくてもいいと思っています。観た人が美しいと思えば。
「これなんですか?」なんて愚問はしなくていい。その前に感じるか感じないか。
絵ですからね。心。Soul!

ほとんどにじみがないのでこの絵遠くから見ると透明水彩に見えないかもしれません。透明水彩で描いた絵は水彩画。以上。チュラポの生徒さんが描いた水彩に来場者が驚くことが多いです。お見せできないのが残念ですが皆さん一般的に考えられている水彩画とはちょっと違うかもしれません。
水彩を始める人にまず教えること。平塗り。
にじみじゃないの?となりそうですが平塗りなんです。上手くなるほど平塗りの精度で差が出てくるので最初にそこを鍛えてしまおうということです。

僕が透明水彩であまりにじみを使わない理由
・油彩との描き方に大きな違いが出てしまうから

油彩だから、透明水彩だからと描き方が変わることに違和感があります。あとにじにじした印象画的な水彩ではなく、しっかり描きたいのもあります。そういったことから筆もジャブジャブにしないで必要最小限の絵具しかつけません。ビギナーのパレットは描き終わりまでパレットがびちゃびちゃの場合が多いですが描き込みに向けて筆の水分量が減っていくので上手な人はパレットが乾いてたりします。

画面内に細い線がたくさんあると思いますがシャドウの濃いところにも入れています。いわゆるハッチングです。ちょっと濃くしたいときなどにけっこう使える技です。濡れた筆で触ると下の層が動いてリスクがあるときは助かります。

思いついたことを列挙してきましたがこんなところです。ご参考までに。

コメント


認証コード4382

コメントは管理者の承認後に表示されます。