形を取るときにすること

特殊な描き方を除いてどんな画材でもまずは形を取ることから始まりますね。
形を取るときに皆さん何を考えていますか。
「形を取るのに必死だよ」と言われそうですが形を取っているときは絵作りの作戦会議でもあります。

僕が静物で形を取るときに考えていること
・焦点の決定
・構図(余白の大きさなどのトリミング)
・トーンの関係性
・彩度コントロール
・エッジの強弱
他にもありそうですがこんなところにしておきましょう。

・焦点
写実は例外ですが全部を一生懸命描いてもあまりスマートな絵になりません。焦点をしっかり見極めましょう。脇役もあると尚いいです。

・構図
自分でモチーフを組むときはその時点で考えているので形を取るときに主に余白ですね。画面ギリギリまでよせたり微妙なことをするので形の正確性はとても大切です。額装予定の絵はそれも考慮しなければいけません。

・トーンの関係性
5個ぐらいのグレースケールで大きく画面を見ましょう。
具体的には固有色と明暗で分かれるエリア毎にグレースケールの濃淡をイメージします。

・色について(マザーカラーの決定、彩度の関係性)
細かい色は無視して画面全体の色調をイメージします。その次にどのモチーフが一番彩度が高いかなどの順位付けもします。

・エッジの強弱
境界線の処理についてもよく観察します。どこが鋭く、どこがぼやけているか。
余談ですが画面内でそんなに重要ではないところに鋭い境界線があることもあります。僕は焦点を邪魔するような鋭いエッジはわざとぼかしたりします。
トーンも目立たせたいところのトーンコントラストを少し強めたり、反対に不要な部分は弱めたりしています。色も同じですね。この色を鮮やかに見せるために周りを少しくすませたりします。
全て絵作りですからね。とその前に絵は自由ですからより美しいものを描くためにこういったことはしてもいいと思います。自分のフィルターを通してより高い美を追求する。これら全てデッサン力です。色があろうがなかろうが美への追求がデッサンの神髄だと思います。

以上のことを考えながら形を取ると絵がまた違ってくると思います。
絵を描く中で最初のイメージから動いていくこともありますが下描きで設定したようにフィニッシュまでいけるとスムーズです。

形を取るときに気になっていることがあるのでお話します。

トーンを付けながら形を取る方法もありますが(そういう指導をしているところもあると思います)、鉛筆デッサンなら通用するかもしれません。しかし水彩でそんな形の取り方したら色塗ったときに汚れますね。
画材によって描き方が変わることをいつも不思議に思います。
一般的に水彩で黒は使うなと言われていますが鉛筆でカゲを塗ってから塗るのは筋が通っていません。相対的に見て形を取るときは線がいいですね。

サンプルを一枚。
水彩の下描きですが物とシャドウの形を線で取っています。
トーンを一切付けていません。汚れるのが嫌なので。笑
シャドウの形をしっかり取ることがコツです。
塗りながらシャドウの形を取れる自信があるならしなくてもいいですが水彩ではそうはいかないでしょう。塗るときは色とトーンに集中した方が失敗のリスクが減ります。

auto_tgd4OD.JPG

均一な線で下描きする人が多いです。
先ほども書きましたが下描きではトーンの関係性を見極める時間です。
その成果として形を取る線にも強弱を与えてあげると次の仕事がしやすいです。
コントラストの強弱で線も変化させてあげるとトーンを付けるときも色を塗るときも「そこははっきり境界を出すところだよ」などと紙が合図を出してくれます。
塗るときは色に意識がいってますから客観的なささやきが聞こえると助かります。

僕の水彩は下描きのあとが見えないと言われます今書いたようなアプローチで下描きするので塗るとすっきり下描きがなくなるようにしています。下描きと絵具の濃度が合っているとトーンがピッタリということなのでオッケーですね。
鉛筆デッサンでは輪郭線が残ると良くないとされているので下描きの線が次塗るであろうトーンの濃さだと最高です。形取っている時点でトーンを当てるのですから究極ですが楽しいチャレンジでもあります。試してくださいね!

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