透明水彩についてあれこれ

透明水彩はやはり一番人気ですね。なんとなく馴染みがあるからかもしれません。しかし学生時代使っていたイワユル「絵具」とは違うことを認識した方がいいかもしれません。「絵具」には「しろ」が入っていましたが大人の透明水彩はハイライトを除いて基本的に「しろ」は使いません。

生徒さんを見ていると透明水彩で上手く描けない原因は薄め具合によるトーンコントロールできないことです。塗りムラもこのジャンルに含まれます。もうわかっていることなので局所的に弱点を克服するためのエクササイズを繰り返しましょう。結果はすぐに体感できるはずです。

透明水彩らしい絵を描きたければ濡れているうちにできるだけ仕掛けましょう。意図しないにじみで思わぬ美を発見するかもしれません。偶発性すら利用してしまえばいいのです。
絵具が垂れて「あぁやばい」なんてどうでもいいことです。そんなものを気にするぐらいなら油彩やアクリルに持ち替えた方がいいのでは。

水彩は一発勝負。失敗したらもう終わり。
これはよく言われることですが失敗したなら一度洗い流してリスタートしてみてください。紙がきっと次のステージに導いてくれます。
「これ以上触ると絵が汚れる」汚れた絵でもいいじゃないですか。描いているモチーフと彩度が違っても全体の関係性が合っていればフィニッシュまでいけます。
例えばアンドリューワイエスの絵は彩度が低いですが素晴らしい作品です。つまり汚れたなら汚れたなりの絵で成立します。結果美しければその絵は成功ですよね。

教室の指導では僕が描いたサンプルをお見せしています。
指導のためなのでできるだけわかりやすく描いています。しかしいつもと描き方が違うのでイライラして普段の自分が出てしまうときがあります。
そんなときはだいたい基本通り描いていません。教室で教えていることと真逆なこと(ダメだと言っていること)も平気でやります。

例えば…
・透明水彩はなるべく少ない重ね塗りで塗ってください
→わざと4、5層もするときがあります。
・ホワイトはハイライトだけに使ってください
→ホワイトを他の色と混ぜて塗ったりします。
・ぼかしたいところは塗れているうちに塗ってください。
→わざと乾かして次の層でぼかしたりします。

他にもありそうですが、要は基本は大切ですがそれだけでは事足りなくなるということです。というか、観えたモノを表現するのにそんなことにかまってられない感覚に近いです。

お粗末ですがサンプルです。

auto_RkwRCq.JPG

所々どうやって描いたかわからないと思います。
一般的なルールから外れた描き方なので本人に聞かないとわかりませんね。こういった基本から外れた描き方は枚数で身に付くものです。描こうとするイメージがあるのに描けないのは引き出しが少ないのかもしれません。たくさん描いてご自分なりの極秘の技を身に付けてください。



絵は紙(いらない紙でもクロッキー帳でも充分)と鉛筆があれば描けます。透明水彩は他の画材より手軽ですね。筆も水洗い(油彩はブラッシュクリーナーで洗浄後、石鹸で仕上げ洗い)、パレットもやりっぱいいですし、コップ一杯の水があれば小さな紙に絵が描けます。たくさん描きましょう!

あとちょっと気になっていることがあります。
絵具の特性についての理解が浅い人が多いです。前にも書きましたが透明水彩でも不透明のものがあります。絵具によって粒状化(グラニュレーション)します。粒状化する絵具はパレットで混色して色を作ってもしばらくすると他の絵具と分離しますので塗る前にもう一度よく混ぜてくださいね。混色して塗ったのに2色に分かれてしまうのでこいつの仕業です。
その他にもあります。塗ったあと明るくしようとワイトアウトするのはよくあることです。そのとき色が抜けない絵具があります。染みつく色ってやつです。例えばワイプアウトを多用する描き方の人は抜けやすい絵具をパレットのレギュラーメンバーにする方が効率的でしょう。ご自分の描き方で絵具のチョイスを考えることはとても有意義です。

絵具にはそれぞれ上記のような違いがありますのでそれらを理解することで透明水彩のより深い世界に突入していきます。

今回のブログは長くなりましたがこの辺にしておきましょう。
手で覚えたことは忘れませんのでたくさんトライしてくださいね!

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