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美しいカゲ色

前回の記事の補足も兼ねて書きます。
先日、家でゆったり描いていました。
なんとなくパレットにあった色が綺麗に見えない日でした。
絵具の色だけ見たらそんなに綺麗ではないかもしれません。

どうしたら最大限綺麗な色になるのか冷静に考えている時間が貴重でした。
上手くなろうと血気盛んになるとデッサンに傾倒しますよね。
デッサンは色相と彩度を無視して明度に特化したものなのでペインティングに戻るとしっぺ返しを食らいます。気を付けてくださいね。

一般的に見たら汚い色ってありますよね。
その色を綺麗だと思えてからまた何かが発見できるような気がします。
抽象的な言い回しでわからないからもしれませんがパレットでたくさん色をこねてるといつか気付くと思います。

カゲの色って面白いですよね。画面全体の雰囲気作りに大きく関係してきます。
構図を練るときは明暗の配分を考慮します。オーソドックスに明部と暗部を7対3ぐらいで考えてみてください。
カゲ色の占める部分は画面の3割もあるわけです。ここで気の利いた色を使えないと画面が冴えませんよね。
特に色で攻めるタイプの絵は厳しい状況になります。
海外の水彩画家でたまにカゲに見えないのにカゲに見えるし、立体感が出ている絵があります。本当に色のことを知っているんだと思います。

カゲ色は固有色に補色を混ぜたものとよく言われますがこの考え方一辺倒だとあまり良い結果が出ません。
補色を混ぜると無彩色ゾーンの黒に近づいていきます。トーンと彩度が下がりますがしっくりこないことがあるのではないでしょうか。
なんとなく黒ずんでトーンの低い色。これをカゲ色だと思い込んでしまうとなかなか綺麗な絵になりません。
カゲ色を作るときに色相、固有色自体を少しいじってあげるとかなり助かるケースがあります。
補色を混ぜただけですとトーンと彩度のみの変化になり縛りが強い感じです。色相自体を変化させることも考えてみましょう。
色味のあるカゲ色を作るときにはもう少し高彩度のゾーンを旅したいものです。
真っ赤な絵具はトーンが割と低いです。シャドウは基本的に明部よりトーンの低いエリアです。
彩度が高くてもカゲ色として通ってしまうこともあるかもしれませんよ。この感覚けっこう重要です。

○カゲ色についての補足
室内の照明を全て消し完全な一点灯(単光)にするとシャドウはほぼ黒くなります。
一点灯なら黒に近い色でシャドウを闇に放り込んであげればいいですね。

日常ではシャドウは完全な黒になりませんがこれは反射光、あるいは拡散光の仕業です。
反射光が入るということは物の固有色が少し透けて見えるわけです。
固有色に補色を混ぜただけだと反射光の色が考慮されていませんので単調なカゲ色になります。
※反射光とは何かに当たって跳ね返った光です。この反射光には当たった物の色が当然含まれてきます。ちなみに明部は主光源の勢力が強いので反射光の色の影響が弱いですが確かに色は飛び交っています。

ここまでで…
シャドウの色=固有色のトーン(彩度)の下がった色+反射光の色

あともう一つ。
カゲ色には主光源の色も関係してきます。
光源の光の色の補色が見え隠れしますのでその辺も忘れずに混色しましょう。

通常は間接光や拡散光などと呼ばれる二次光源が入り込みます。室内にたくさんある蛍光灯などもそうです。
遠くにある照明でも光は届くので完全にカットしないとシャドウは一点灯(一つの光源)のときより明るくなります。そうするとシャドウはそこまで暗くなりません。

上記の内容を踏まえてカゲ色を作ってみてください。

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