木炭の使い方

私は木炭の先を注射針のように尖らせて使いません。
ほぼ全て木炭の腹だけで描きます。下の画像は形取りがおおまか終わった段階です。
細く鋭い線は全て木炭の腹で描いています。腹で描くので細い木炭はあまり必要ありません。
太めの木炭だけで線を引き、そのまま一気にビッグブロック毎にトーンをつけていきます。

画像の説明



木炭の黒が映えるのは紙に圧力をかけて描いたときです。腹で描くと十分に力が加わるので紙の芯まで木炭がくっていきます。凸版印刷の黒はとても綺麗ですよね。原理は同じです。

ちなみに私は木炭の種類にこだわりは全くありません。ヤナギの標準的な硬さの木炭1本で十分です。日本では枝の種類や番手を描くセクションで使い分けたりしているそうです。
個人的な意見ですと、木炭最大のメリットは木炭しか使わないことです。
鉛筆のように硬さの調整で鉛筆を変える必要もなく、ましてや油彩のように色のことも考えなくていいわけです。
つまり木炭1本しかないがゆえ「純粋にモノを観る」ことに最大限集中できます。
木炭の種類や硬さなど無視してしっかり観察して描くことだけに全神経を使いましょう。
観察力のある人はどの木炭を使っても立派な絵を描きます。
※マドリードで木炭の種類にこだわっていた人に会ったことがありません。
おそらく彼らの中ではどうでもいい問題なんだと思います。
昔の素晴らしい木炭画を見ればそんなことは良い絵とは関係ないことを証明しています。

●木炭の色
一見黒に見える木炭も様々な色を見せます。天然のものなので黄味がかったり赤味がかったりします。私は木炭を擦り込んで描いていくこれらの色味も出やすいです。その繊細な色を楽しみながら描いています。

●サッピツについて
スペイン語でサッピツをdifuminoと言います。動詞化するとdifuminar。拡散させるという意味です。木炭画ではこの言葉がキーになります。
私は同じサッピツをずっと使っています。使い捨てではないです。汚れたらサンドペーパーできれいにします。新品のサッピツの先は硬いのでハンマーで叩いて柔らかくします。その方が紙との密着が良くなります。
1本のサッピツできれいな先と汚れた先にしています。きれいな先でわずかなトーン変化や濃すぎるところの木炭を取ったりしています。
細かい描写もサッピツです。木炭で描いてサッピツでぼかしているわけではありません。紙の当たり障りのない部分に木炭溜まりを作り、そこからサッピツに木炭をつけ描きこんでいきます。

●芯抜きについて
私は芯抜きをしません。芯が紙に引っかかったら爪で削っておしまいです。スペインで「芯に含まれる油がまたいんだよー!」と聞いたことがあります。本当かどうかは知りません。当然彼らも芯抜きなどしません。

以上は全て私の個人的な木炭の使い方です。日本で指導を受けた方の使い方を見ると随分違うようです。どちらが正しいはないと思うので色々試して自分の手と感覚がフィットするものをチョイスしていきましょう!

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