透明水彩なのに不透明!?
透明水彩を英語に訳すとWatercolorです。
一体どこから透明水彩という訳になったのでしょうか?
不透明水彩はGouache(ガッシュ)です。不透明水彩のニュアンスはあまり感じません。
発祥は不透明水彩が先なのでその明確な線引きとして透明水彩という言葉が使われ始めたのかもしれません。
透明水彩という言葉は大きな誤解を招きます。絵具メーカーの資料を見れば分かりますが、透明水彩の中にも不透明な絵具、もしくは半透明な絵具が含まれています。
透明水彩と不透明水彩の違いをざっくり言うと、絵具製造過程で顔料などを固めるアラビアゴムを含む割合が違うだけです。(不透明水彩の方がアラビアゴムを含む割合が少ない。)
なので不透明水彩も薄め具合で透明水彩のように描けます。
そういった経緯から私個人的な意見では透明水彩も不透明水彩の区別は特にしていません。
透明水彩で描いていても不透明なセクションが必要なときは遠慮なくガッシュを使います。または透明水彩の中の不透明な絵具を混ぜたりもします。
日本では透明水彩の言葉に釣られて「透明水彩は透明にしなくてはいけない」と刷り込まれてしまっているのかもしれません。
Watercolorという言葉が共通になっている欧米では透明水彩に対しての感覚が日本とは違います。画集では油彩と見間違えるほど濃いところは濃く塗っています。おのずと絵のパンチ力も違ってきますよね。
透明水彩の名手が多い近場の中国の画家も濃いところはしっかり塗っているので絵に迫力があります。
教室ではトーンが低いところはしっかり濃く塗るように指導しています。透明水彩のスタイルは多様です。しかしそのスタイルの幅を広げるためにもデッサンで学んだことを透明水彩で体験することが大切だと思っています。