絶対不動のローカルトーン

モノはそれぞれ固有色を持っています。(リンゴの赤など)
明部の光が強く当たっていない明暗境界線の手前のところを固有色と考えるとスムーズです。
この固有色をグレースケールに変換したものをローカルトーンと言います。(固有トーンとも呼ばれます)
他の教室では見えたトーンを一つずつ乗せる指導がされていると思いますが、これだとトーンがちらかってしまい描き進めていく過程で混乱してしまいます。ローカルトーンを基準とし、シャドウと明部を加える方がシンプルです。デモでリンゴを描いてみます。

1. 輪郭を取り、ローカルトーンだけを乗せる
ローカルトーンのベタ塗りです。ただ均一にトーンを乗せただけの状態です。地味ですがとても大切です。ローカルトーンだけでモノ同士が分かれて大きなトーンパッチができます。グレーの濃淡が異なるパズルのピースがはめ込まれるイメージです。このトーンパッチの関係性が合っていることが第一段階です。

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2. シャドウのみを加える
明部には触りません。画面全体が暗く感じて気持ち悪いですがここはグッと我慢します。シャドウ内でも反射光によってトーン変化がありますが、明暗境界線のトーンを目安に一様なトーンを置きましょう。ここのプロセスでシャドウ内部のトーンを整えようとしがちです。しかし、明部の明るさを回復してから反射光を入れた方がトーンの迷いがないです。
※ここまで言っても明部を練り消しで明るくしたり、リンゴの模様ななどを描こうとする方がいます。絵を壊しているだけで無駄な仕事になるのでやめましょう。

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3. 明部に光を与え(ハイライト)、シャドウ内に反射光を加える。最後にディテールを描きこむ
ここで初めて明部を触ります。ハイライトと明部の明るい部分は別物です。一度ハイライトはないものだと仮定し、その下にある繊細な明部のトーン変化をよく観察しましょう。明部を明るくしていく過程でトーンがばらついてしまったら遠慮なく均一なローカルトーンを塗り直しましょう。その方が早いです。最後にハイライトを加えます。同時に床にも光を与えました。
明部の様子を見ながら反射光も入れましょう。シャドウ内ばかり見てると明部より明るいトーンを置いてしまうケースが多々あります。反射光はあくまでどこかに当たって跳ね返った光で明部に当たる光よりかなり弱いです。例外はありますがトーンコントロールに慣れないうちは控えめを意識した方が無難です。

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※リンゴの模様を描きたい方はゆっくり描いてください。写実性があるから絵が上手いとは限りません。モディリアーニやエゴン・シーレは写実ではありませんが抜群に上手です。こういった絵を上手いと思えるようになるには少し時間がかかりますが、海外では当たり前の感覚です。

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