透明水彩の新しいチャレンジ

会員さんはご存知の方もたくさんいますがずっと体調が悪い状態です。なぜかと言いますと禁煙外来に通院中なんです。服用している薬は経験者ならおわかりかと思いますがタバコを吸いたくなくなる不思議なものです。ただけっこう強いのでなかなか大変です。あと1週間ほどで3ヶ月にも及ぶ闘いも終止符です。薬が終わってからちゃんとやめれているのか少し不安ではありますが薬から解放されるのでよかったです。画家とタバコ、酒はセットのようなイメージもありますが昔の話なのかな。ロマンがあってかっこいいですがやはり健康第一で。昔はかっこいいとされていたタバコが今は時代遅れ。人の感覚って面白いですね。
ということでなるべく無理せず生活していました。気持ちが悪いので海にも行かずのんびりと絵を描く日々。ブログ記事にも直近のものだと風景のものが多かったのですがその継続と少し。風景の勉強をすることで静物画にも活かせそうなアイデアや知識が得られて面白かったです。それと自分が伸びそうな予感がしていたので余計なことはせずに絵に時間を使っていました。ある程度経験を積んでくると上手くなる前触れみたいなものを感じるようになります。そこでさぼらずラッシュをかけるととても効果的だと思います。

春か夏の始まり辺りでしょうか。イーゼルを買おうと思って注文していたのですがコロナの影響でキャンセルされること2回。今月3回目の注文でついに届きました。国産メーカーならすぐに届いたかと思いますがマーベフのイーゼルにこだわっていたので仕方がない。ちょっとご覧ください。

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Made in Italy.
描いていて最高に気分がいいですよ。形から入るタイプですがモチベーションが上がった方が制作も調子いいのは当然ですよね。自分を上げるアイテムに投資するってけっこう大切な要素だと思います。
ロゴもかっこいいですね。おまけに金具もかっこいい。
こういうところのセンスがおしゃれなんだよなー。イタリア人が絵を描くときも似たようなこだわりの感覚がありそうな。

一見小さく見えますがこれでも縦にF130が入るので充分すぎるスペックがあります。天井貫いていきそうですが。。。
教室は一般的なデッサンイーゼルで描いていただいてもらっていますがこれはアトリエイーゼルとかスタジオイーゼルといわれるものです。油彩メインのタイプだと思いますが少しお辞儀するぐらいまで角度調整できます。だいたい垂直になっていれば油彩の光って見にくいこともなくなります。キャンバスを上下に移動させるときも楽ちんで真ん中の柱にあるフックを引っ張るだけです。写真の下の方に金具の爪が見えますがこれで固定されます。
折り畳みのスケッチイーゼルもマーベフのものを狙って物色中です。アルミ製のものは持っていますがやっぱり木の温もりがいいですね。

油彩のことばかり話していますが最近少し透明水彩も使って描いています。ちょっと気になることがありまして。できるだけにじませないで描く練習しています。名付けてにじませない技法です。透明水彩からにじみを取ったら何が残るんじゃ!と言われそうですが絵は人それぞれなんで。
展覧会で油彩と並ぶと透明水彩は弱く感じてしまうことがあると思います。そりゃそうですよ。目的が違うんだから。透明水彩の良さは白絵具を使わないその抜け感がいい。そういう絵の方がいいと思う人もいるので胸を張って透明水彩で描いてくださいね。
レッスン中にちょっと描いてみました。

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リスさんです。タッチがうるさいところを壊したりしたので少しにじんだところはありますがほとんどぼかしは入っていないと思います。本当に必要最小限の水しか使っていません。ドライブラシ直前って感じです。そんな感じの筆で塗りますから下塗りの1層目も溶け出すこともありません。これは大きなメリットだと思います。塗り方の練習で色をあまり使ってないので少し寂しいですがここから色を増やしていくともっとハッピーな絵になりそうです。透明水彩は最初に綺麗な色を置かないとダメみたいな思い込み(そういう指導が一般的でそれも一理ある)がありますが後からでも色味の豊かな絵にすることはけっこう可能だったりします。汚れたからといって描き切ることをあきらめるといつまでもそのスキルは身に付きませんが。リスさんの顔周辺は特濃に溶いて塗りました。たまに濃く塗るとテカることがありますがこれはバインダーのアラビアゴムの仕業ですね。まぁそこまで気にする必要もないかと思いますが。バインダーとは色の粉をペースト状にする材料です。このバインダーのおかげで色の粉は紙に引っ付いてくれます。

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マウス君です。細かいことをトライしながら描きながら変になってしまいましたが楽しめたのでよかったです。にじませないと色が独立して残りますね。絵具もできるだけ紙の表面に近いところに留まってくれた方が鑑賞者に綺麗に見えるのかな。
透明水彩は水を多く使うほど難しくなります。あちゃーってなるときもたっぷり塗るときが多くないですか。久しぶりに水彩をやるとその手軽さはやっぱり大きなメリットですね。サインが入っていますが細い線で書かれていると思います。使った筆は5号ぐらいですが面相筆のようなものではなく形状は普通です。でも手先がめちゃくちゃ絞れて細い筆が引けるのでお気に入りです。透明水彩ではESCODAのコリンスキーを愛用しています。手荒く描いて筆が傷みそうなときはもう少し安価なものを。ESCODAは宝物なので。頂いたアルシュの水彩紙がたんまりあるのでコツコツ練習していきます。修行時代からなぜだか画材くれる人が多い。紙、絵具、筆、額縁。。。
サンプルを見てお分かりのように世間がイメージする透明水彩ではないかもしれませんが油彩の描き方との差異が小さくなったことには成功していると思います。画材を変えてもその調整のためのストレスが減ってくれそうです。

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色試しで買ったり、頂いたりした絵具たちです。少し見直してみたいと思いました。絵具がたまってきたら色毎に分けて整理するといいですね。混色で色を作るときも色の原型を見つけやすくなります。一つ一つの色を丁寧に繊細に認識してあげると色がより見えてくるような気がします。この料理に塩をこのぐらい入れるとこれぐらいのしょっぱくなる、このぐらいの強さでコップをぶつけると割れる。全て感覚。この絵具をこのぐらい入れるとこのぐらいの緑になる。同じですね。経験。
もっとボディの強い透明水彩絵具が自分には合っていると思うので海外メーカーをメインにチェックしています。自分の体質、スタイルに合った絵具、使っていて心地いい絵具がやはりいいですね。

透明水彩は難しいです。初めて絵を習う人はその手軽さと気軽な趣味になりそうだということで透明水彩で描こうとしますが挫折も多いかと思います。という経緯から教室ではなるべく油彩に振るようにしています。色を使って絵の楽しさを感じるなら油彩の方が合理的です。透明水彩が上手な人はほぼ例外なく油彩も上手ですが透明水彩が描けないからと劣等感を抱く必要はありません。楽しく描くこと。そしてできるだけたくさん描くことの方が価値があります。

色々と寄り道な話がありましたが今日はこの辺で。

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