疲れているときはざっくりした絵を!

只今CHULAPO展が開催中です。昨日展示が終わったわけですが1週間働いたあとでの展覧会準備でかなり疲れました。今日は生徒さんにお任せして休ませていただきました。久しぶりに体がおもーくなって動けませんでしたがなんとなく描きたい気分でもありました。今の団塊世代の人は土曜休みじゃなかったですよね。残業もバリバリしておまけに会社の付き合いで仕事終わりに飲みに行く。って考えると今の人はけっこう時間あるんですよね。でもなぜか窮屈な感じ。考え方の問題なのかな。
たまに「大きい絵描いてください」と言われますが少し困ってしまうのです。絵をあげるわけにはいかないので値段をつけますよね。値段は号の単価で決まる。駆け出しのプロで安く見積もって号2万だとすると30号×2万で60万ですか。そんな理由です。

練習で描く絵は完全に割り切っています。たまに失敗するつもりで描くこともあります。こう描くと多分失敗するだろう。で、実際に描いて失敗するか試す。失敗しても学ぶことがある。こんなときは使う溶剤も安い物です。
いらない絵具があったのでストレス発散がてらナイフでブリブリ描きました。指導上、最低限必要な絵具はご紹介していますが色感素養のために絵具は色々試した方がいいです。結局は基本パレットに戻ると思いますがビギナーは一般的に使われる絵具だけでは作れる色が少ないです。まだ色はたくさんあることを知るために興味を持った色はどんどん買いましょう。合わなくて使わないこともあります。上達するに従って混色で作れる色も出てくるでしょう。そうこうしているうちにいらない絵具は増えていくものです。人にあげるのもいいですがナイフペインティングでガシガシ塗るのも楽しいです。ナイフの使い方の練習にもなりますし。

2回で描きました。2回は1回乾かしたという意味です。

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昼間写真を撮ったので青くなっている部分がありますね。このセクションでは画面のトーンセットと遠近感を出すことを意識しています。すごいざっくりとした絵なので遠近に関しては原っぱのグラデーションだけです。遠くの山の彩度が低いのも遠近感を出すのに役立ってそうですが。描き込む予定のところは厚塗りの上から仕事をしにくいので塗り残しました。建物や木があるところですね。画面下の流れたウォッシュは形を取るときのおつゆ描きの跡です。

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完成です。疲れているときに細かい絵を描くのは精神的に辛いときがあります。細かい仕事をのんびりやるのも案外癒されたりもしますがざっくりおおまかに描きたい気分でした。僕は気分屋ですがそんな感じで描いていた方が楽しい。常にしっかりした絵を描こうとするとイーゼルに向かうことを拒否したくなる人が多いので楽しく描いてくださいね。
焦点はオレンジの屋根の小屋です。めんどくさいので細かいところは描いていません。人の目を引くのは意外と簡単で目立たせればいいだけです。そのためにはどうすればいいか考えましょう。この絵ではオレンジで他の部分より彩度を上げています。もちろん僕の加工。実際の色とは違います。文化的な背景から強いものを嫌う傾向にありますが焦点ははっきりさせた方がいい。ここが焦点だ。他は捨てる。ぐらい割り切った方が気持ちのいい絵が描けます。

10号のキャンバスに描きましたが潰したキャンバスで落書き帳です。キャンバスは表現するフィールドなので塗ってないところがあってもいいと思います。木枠に張られたキャンバスしか買ったことがない人はキャンバスを自分で張ってみましょう。ただの布に描いていることに気付きます。

La Libertad はスペイン語で(束縛に対する)自由、解放、(権利としての)自由、社会的自由という意味です。
よっほど悪いことしなければ御用にならない国で自由に伸び伸び生きている人は意外と少ないものです。でも不自由にしているのは自分なんですよね。絵なんて自由そのものです。
僕は生徒さんを上達させるのが仕事ですが正直なところ描き方はないと思っています。描き方がないのに必ず上手に描ける描き方を探し始める、上達が描き方を身に付けるという態度になるとジレンマに捕まりやすくなります。クラゲの精神でいきましょう。

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