アンダーペインティングで確認すべきこと

今日は展覧会に出展する絵を少し手直ししました。教室の展覧会は準備等で自分の絵をのんびり描いている暇もないのでギリギリになってしまいました。ストックはありますが出したくない絵もあるので保管してあります。手直しが終わったのでまた次の実験に入りました。

最近やたらと眠気が強いのでほどほどにしてアンダーペインティングまで塗りました。ブログを読んでくださっている方はもうアンダーペインティングの言葉の意味はオッケーですか。美術用語覚えない人が意外と多いですが上達が遅くなるのでしっかりおさえましょう。たまには絵を描かないでペーパーテストもいいかもしれませんね。

アンダーペインティングは下塗りのことですが描き方としては古典的かもしれません。今風な描き方ですと見えた色をベタベタ塗っていきますがこれはアラプリマの応用版みたいなものです。アラプリマは難しいのでなかなか上手く描けない人も多いのでは。アンダーペインティングをマスターすると油彩で描くのが楽になります。アンダーペインティングは薄塗りですがただ薄く塗ればいいわけではなく、ある程度狙いを持ったものの方が乾いた後の仕上げ塗りがしやすくなります。

ではサンプルを見ながら僕なりの考えをお話していきます。

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曇った日の小屋って感じです。天気が悪いので全体的な彩度は低めになっています。透明もしくは半透明の絵具で塗っていきますが固有色かシャドウかに分かれます。この時点で細かい部分は全部無視です。例えば細い枝とか。そんなものはこのセクションではどうでもいい。草もどうでもいい。大切なのは草の持つベーストーンをそのエリアに塗ってあげること。草だと分かり始めるのは描き込みのときでいいです。左上の空はこのセクションで塗っておくと次層で乾いた上から枝や葉を描けます。葉と葉の隙間のスカイホールってけっこう厄介なんですよね。楽に仕事ができるように手順を踏みましょう。

僕は油彩を描くときは常に色彩デッサンをする感覚です。このアンダーペインティングも同じ。まずはエリア毎に大きくトーンを分けると画面がはっきりします。白絵具を使わないで透明水彩のように色彩デッサンをしてあげればいい。だから透明水彩の技術はとても大切なんですね。キャンバスの白を透かせてトーンを合わせてアンダーペインティングは完成。乾いて次に塗るときは白絵具を混ぜてトーンを合わせて塗ればいいだけです。要はデッサンです。デッサンしない人はもう知らなーい^^
仕上げ塗りのセクションも必ずしも全面塗り直す必要はありません。アンダーペインティングのまま残る部分があるのが普通です。

このサンプルを見たとき小屋の窓か真ん中の木に目が止まりましたか。焦点ポイントですね。アンダーペインティングでもう焦点をはっきりさせておいた方がいいです。フィニッシュの方向性を自分に提示するためです。1枚の絵で言いたいことは一つでいい。余計なことを話すと鑑賞者は迷ってしまう。とかく日本人は説明したがる。どこもかしこもしっかり描いて説明して何が描いてあるかはっきりさせないといけない強迫観念みたいなものが強い。鑑賞者が心地良くいるために想像の余地を残してみては。説明しようとすることは固有名詞で物を見ていることになり、これはトーンで描くという正しい姿勢とは逆行しています。絵を描くときは物の名前を忘れる。

今回のサンプルはカゲ色ベースで塗ったので少し濁った感じになりましたが仕上げのセクションで彩度を上げることは可能です。最初から綺麗な色を置くより「後置き」する方がしっくり馴染んだりします。上手い人はこのパターンが多いですね。白キャンバスの上に綺麗な色を置くと生っぽくなるときがあります。

アンダーペインティングでは一番トーンの低いエリアや濃い部分を置いてしまうのがコツです。周りが薄塗りなのでガツンと濃い色を置くのは少し怖いかもしれませんが全体のトーンが見やすくなります。やりすぎたらペーパータオルで軽く拭けば明るくなるので怖がらずチャレンジしてみてください。暗いところは基本的に白は入らないので(光の量=白絵具の量)この濃い部分は仕上げ塗りでも触らないで終わることが多いです。

塗りながら形を取る能力が油彩には必要です。ビギナーにはとてもハードルの高いことに思えますが最初は形を取てなくてもいいんです。何もしないのが一番良くない。ズレてもいいからとりあえず形は取っておく。次のセクションでより正しい形を取るためにその間違えた形は必要になります。これもデッサンと同じ。間違えた線も消さずに残せばあと何ミリ左に移動すればいいかの物差しになります。何もないところから正確な形は取れません。

あと何かお伝えすることあったかな。描いているときはこれを記事にしようとか浮かぶのですが忘れてしまいました。。。
明日も違う絵をスタート。描きたい気持ちとは裏腹に腕が重い。身体的な疲労がなければいつまでも描いていられるのになぁ。

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