描き始める前に

ブログをこれまでたくさん書いてきましたが教室に通っていない人にもお役に立てているようで嬉しいです。日本の純粋アートは世界からかなり遅れをとっているので早く追いつけるよう貢献できたらなと思います。一般的なお絵描きガイドのような記事はつまらないので書かないようにしています。今やネットで腐るほどその辺の情報は溢れているので同じ土俵に立っても意味がないような気がします。ちょっと違った視点から情報提供したいと考えています。

今日は描き始める前にしてほしいことについて書きます。これは習作ではなく本番の絵でのことです。描き始める前にイメージすること、構図ですね。四角い枠がある中でそれを最大限どう活かすか。ある意味制約のある状況で仕事をしなければいけません。僕はこの制約を楽しむ方ですが仮に無限に広がるキャンバスだったら途方に暮れてしまうでしょう。

展覧会では初見が遠くからの印象です。細かい描き込みよりも構図ということになります。作品に合う額縁のチョイスから勝負が始まっているとも言えるでしょう。
構図。皆さん何種類の構図をお持ちですか。普段モチーフを組まない人は適当に組み合わせるだけになると思いますがそこに作品の意図はありますか。ただ置かれたモチーフを描くことだけではアートしていませんね。展覧会に参加すると自分で作品を仕上げることでアートする感覚がわかります。本当の意味でそこに自由があって自分が何者かを探る手がかりにもなります。

僕も今年のCHULAPO展には参加させていただきますが描き始めました。Sサイズのキャンバス(正方形)ですが構図の練り合わせでこんなものを書きました。

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その辺にあったグレーの紙ですがスモールスケッチしました。構図を考えるだけなので雑でいいですね。
摩訶不思議な数字が書いてありますがこれはトーンの構成です。僕はグレースケールのトーンを9個に分けて物を見ていますがその数字です。三角構図やL字構図など形に関する構図がありますがその次にトーンの関係性を構築しなければいけません。焦点をどうすればより美しく見せることができるか。焦点をどこに置くか、大きすぎるモチーフをわざと少し小さく描いたり、色の関係性も吟味します。構図が悪いと良い絵にならないのでかなり時間をかけるところです。構図の大切さがわかるとうかつに描き始められなくなります。



構図の違いで絵がどう変わるか見てみましょう。

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この絵は以前ブログでもご紹介しましたが父が気に入って部屋に飾っていました。Fサイズのキャンバスで描きましたが画面の下が字余りになっています。要は絵を悪くする意味のないスペースになっています。花や舗装されていない道などがあれば画面は持ちますがこのままでは厳しそうです。前からこの事が気に入らないと思っていましたのでMサイズ(Fサイズよりかなり縦が短い)に変更しました。


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いかがでしょう。かなりすっきりして落ち着いた感じがします。作品になるか習作止まりかは紙一重でもありそうです。



皆さんキャンバス自分で張れますか。先ほどのサイズ変更もそうですがキャンバス張れると構図変更の可能性が出てきます。僕はキャンバスを張らずに描くこともありますがその含みを残しています。水彩なら自分でカットしてマットで調整できますね。額装まできっちり自分でやって作品を仕上げる。わからないなら自分で調べて考えて自分の手で絵を仕上げる。
日本では細かい描写の上手さに注目がいきますがスペインでは真逆でした。構図や絵作りに関しての話ばかりです。特に指導で言われたことではありませんが彼らと展覧会に行くとそんな話ばかりしています。こういうことを肌でビビッと感じて学ぶことは大切ですね。貴重な情報は日々転がっているので何でも気付くか気付かないかだと思います。

教室の展覧会で先生の絵をたくさん見たいと言われることもありますが主役は生徒さんです。先生の発表会ではありませんね。生徒さんの脇役に徹して出しゃばらないようにしています。当たり前ですよね。生徒さんの1年間の成果を見せる場です。僕の絵は別の機会でやりますので自分が主役だという気持ちで取り組んでくださいね。

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