ヌードクロッキーのコツ

描き方のコツについてお話するのは好きではないのですが皆さんの上達のきっかけになればと思います。描く量:机上で知識を得るの比率は7:3くらいが理想です。これが逆転している人がとても多いです。絵は感覚なので頭で理解だけでは腕で身に付けるようなイメージがいいでしょう。

ヌードクロッキーで一番最初に頭に入れておかないといけないのが上手く描かなくてもいいということです。ストレッチ体操みたいな感覚がいいと思います。ストレッチ体操にしては少しスピーディーですがそのぐらい気楽に構えてほしいと思います。

本題に入る前にクロッキーという言葉の定義について。ヌードクロッキーでも10分を超えるポーズだと少し余裕が出ます。クロッキーの醍醐味は無意識の状態になって線を引き始めてから。要は時間がなくて焦って描くのがいいんですよね。焦って無我夢中で線を引く中から得られるものがたくさんあります。
実を言うと僕はこういった心理状態にはもうなりません。「時間がないからしょうがないじゃーん!描けないもんは描けん」と割り切れるようになりました。最初は焦ってください。場慣れしてくれば線を選んで引くので時短できるようになります。焦って何本も線引くより見切って少ない線で描いた方が案外形になったりします。

ヌードクロッキーのアプローチには様々なアプローチがあります。過去記事で使ったサンプルですが復習も兼ねてご覧ください。

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まずは基本から。陰影パターンによるアプローチ。チュラポは投光器を使っていますので明暗が観察しやすいと思います。こんな感じです。

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教室ではクイックスケッチには明暗の2トーンで描くことを推奨していますがもちろんヌードクロッキーでも有効です。では次に。

2分ポーズ

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1分ポーズ

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ヌードクロッキーでは形の正確性よりも動きをとらえることが優先になります。一般的にはジェスチャーと言われますね。何をしているか、どういう体勢なのか、どこに力が入っているかなど描きとめる練習です。2分や5分ポーズなどは形を正確に取ろうとするよりこちらに重点を置いた方が実りが大きいと思います。次は構造的アプローチです。

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ジェスチャーは基本的に曲線を多用します。人体を表現するのに直線より曲線の方が合理的だからです。でもどうでしょう。人体には骨が見え隠れしています。骨格の力強さを感じさせるには人体を立体として見ることも必要になりそうです。

骨格に付随して解剖学的アプローチ

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ヌードクロッキーのポーズ時間は決まっていますがその中で何をするかは描き手の自由です。気になる筋肉の隆起などがあったら局所的に描くこともいいでしょう。

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こちらも局所的に描くアプローチになります。ヌードクロッキーの後半でガス欠するときありませんか。そんなときは無理せず関節などの少し細かいところにフォーカスして練習するのもいいと思います。全身をダラダラ描くより収穫があります。

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最後はイラスト調のアプローチです。このアプローチの面白いところは外形線の継ぎ目を見つける眼を養えることです。全ての輪郭を1本で引くと軟体動物みたいになってしまいますがしっかりと線の折り返しをつけることで人体のエネルギーが途切れることなく繋がります。

スペイン時代は他にも色々と試しましたが今思い出せるのはこんなところです。絵って自分で考えてトライしていくことがとても大切だなと思います。僕は先生になってあまり多くの意見を聞けなくなってしまったので自己フィードバックするように心掛けています。客観性を持って取り組む。さらに客観性がほしいときには生徒さんにも意見を聞いたりします。それがけっこう面白かったりして参考になります。でも結局は自分の理想に挑むこと。頑固一徹で上等です。

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