3トーンだけで描く

いつも具象的な絵を描いているので遊んでみました。

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「白いテーブルの上にある静物」A3、ガッシュ

この絵は3トーンで描くことを設定して制作しました。トーン数が少ないと見やすくてわかりやすい絵になります。鑑賞者の目にもストレスを与えないので心地良く感じられる絵になりそうです。
ビギナーはなんとか見えたものを再現しようと描きますが慣れていないとトーンが乱れていきます。
より少ないトーン数から描くエクササイズをすると上達が早いかもしれません。
とその前に描き始めは画面全体のトーン数は少ないです。大きなトーン分けをしていくのでざっくりした絵のプロセスは通りますね。
そこで完成にすればサンプルのような絵ですし、そこからさらにトーン数を増やしていけば具象的な絵になっていきます。
ビギナーはまずトーンの違いで大きく画面を作りましょう。

サンプルの絵の解説です。
3つのトーンで描きましたがその内訳は明、暗、暗の暗い部分です。
(実は少し青白いテーブルのトーンを高くしましたのでズルしています。。。^^)

教室にはこうしたサンプルが転がっていますが生徒さんの感想を聞いて楽しんでいます。
その中で気付いたことがあります。生徒さんは何が描かれているかを見ていることが多いです。

「これなんですか?」

僕は今まで何が描かれているかという視点で絵を見たことがありません。
何が描かれているかわからなくても全然不思議に思いませんし、あとで調べたこともありません。
描かれている物が何かわからなくても良い絵だと思えばそれでいいのです。

頭ではなく、心で絵を見る。

こうした態度にならないと抽象画を楽しめませんし、鑑賞の幅を狭めてしまいます。
何が描かれているかはっきりさせないと気が済まない鑑賞の仕方は絵を描くときにも影響してきます。
日常生活ではコップでもコップに見えない状況があります。
絵はその状況をそのまま描きますので絵の中でそれがコップに見えなくてもいいのです。
無理にコップだと表現しようとすると観えたモノと違ってくるのでストレスを感じてきます。
反対にコップに見えない状況をそのまま描いてもストレスになります。
しかしこれはデッサンの修練でストレスが減ってきます。デッサンを繰り返すことでありのままの状況を素直に描ける心が育まれます。
形の精度を上げる目的でデッサンしても色を使う他の画材でもすることなのでどうこうなる問題でもありません。
デッサンする意味は観察力を上げること。

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モチーフ台の上に乗っている白い物を見てください。これなんですか?
僕は折り紙をやらないので鶴ではないです。
よく見えないからと言ってイーゼルから離れて見に行くことのはダメです。例えば近くまで寄って見て描いたとしましょう。周りにある物はまたイーゼルから見た距離で描きます。ツジツマが合いません。見えないときは見えないなりに描けばいいのです。レッスンではたまに遠くの物をスケッチさせたりするエクササイズがありますがこれらのことを学ぶためです。そこには老眼も視力の問題も関係ありません。
このよくわからない状況をストレスなく描けることがデッサン力があるということです。細かい描写が上手いからデッサン力があると勘違いすることが多いですが気を付けましょう。
脳はメンドクサイことを嫌いますがデッサンはこれに反抗して愚直なまでにモノを観る作業です。冷静さと忍耐力と新しいモノを発見できた喜びを繰り返す。上に行きたい人はトライしてみては。

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