油彩は透明!?

油彩は水彩より難易度が低いと思っています。
初心者にはおススメの画材です。水彩は難しい。。。
油彩でも上級になると難しくなりますがとりあえず趣味で描く範囲での話です。

油彩は透明だと思った方がコントロールが容易になります。
要は水彩と同じ感覚です。

まずは塗りについて。
レッスンではおつゆ描き、薄塗り、普通、厚塗りとして区分しています。

油彩は透明色から塗り始めた方がスムーズです。溶剤の薄め具合で半透明でもいいと思います。
絵具のチューブにトランスペアレント(透明)やオペーク(不透明)など書いてありますね。まずはこれを暗記することが大切です。

油彩は厚みが増すほどコントロールが難しくなります。(水彩は水の量が多いほど難しくなる)
ゴッホのひまわりは厚塗りですね。ゴッホはヘタウマな印象があると思いますが相当上手いです。一発仕上げだと思いますがあの厚みで濁らずに絵を構築できる(ウェットインウェット、もしくはブレンディング)のはすごいと思います。
試しに模写してみるとその難しさに気付くでしょう。
教室では薄塗りを推奨していますが少しずつ油彩に慣れてもらうためです。油彩に慣れれば厚みを出してもそんなに困らないと思います。まずは薄塗りから。

油彩は透明層からということですが序盤からオペークの絵具で厚塗りしていくと苦しくなります。
サンプルです。Nicolai Fechinの絵です。

Nicolai_Fechin.jpg

画面右下、花瓶の右側に注目してください。
透明な絵具で塗られていますね。キャンバスの白が透けて見えます。なので透明。地の白を透かせて明るく見せる水彩と同じ感覚です。花瓶もひまわりより透明感があるのでウルトラマリンディープなどを使っているのかもしれません。
それに比べてひまわりの黄色はがっつり不透明。推測です。透明層である程度画面を構築してから不透明層で絵の見せ場を作っているのではないでしょうか。たまに名手の中で勝負どころをがっつり序盤に塗る人がいるのでなんとも言えませんが。
カドミウム系の絵具は不透明なのでプロはレギュラーメンバーでパレットに置きます。趣味レベルの人には毒性があるので無理に置けとは言えません。



たまに「油彩でこんなにスカスカでいいんですか?」という質問を受けますが油彩でもキャンバスの白を透かせるのはアリです。
例えば花瓶の右側で白絵具を混ぜて不透明に塗ると主役のひまわりとパンチ力が近くなってしまいます。油絵具は物質感、塗る厚みによって強さが出ます。画面上そんなに重要なところではないところを厚塗りすると絵のバランスが崩れます。全面ある程度の厚みで塗る油彩が多いですが重くてメリハリがありませんね。
抜くところは抜く(透明)、張るところは張る(不透明)。
この抜き差しがわからない場合は毎度恒例デッサンに戻るです。

Fechinの特徴はドライブラシですね。かすれたタッチ。
グレーズやシャドウをしっかり作る手順ではなく固有色を先に置いているのでしょうか。その上からドライブラシでシャドウをかけているようにも見えます。溶剤の調節で乾いていなくても2層目は可能なので(わざとベタベタさせて下の層を動かさないで塗る方法)そうしたこともしているのでは。調べていないのでわかりません。絵を見た感じの印象です。

僕の油彩はよく水彩みたいと言われますが以上の理由からです。
でも塗るところは塗っていますよ。
全面ベタベタ塗るのがどうしてもスマートに思えないのです。
そういう絵をたまに描いてもいいと思いますが。
理想は合気道のようになるべく少ない力で最大の力を発揮するような描き方が好きです。
力任せはあまりカッコ良くない。笑

チュラポでも最近油彩が増えてきましたね。生徒さんがこれからどんな絵を描くか楽しみにしています。

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