床面の傾き

この前の記事にエンベロープについて描きました。それの補足です。

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まずは復習でエンベロープ。ちょっと事情があって黄色の線も入っていますが黄色と赤線で囲まれたものをエンベロープと言います。
形を取るときは立体感を無視して「物の形そのもの」をとらえます。
美大、予備校経験のある人は体験レッスンでは自由に描いてもらうようにしていました。
下地があるのでそこからさらに何か引き出した方がいいかなとの考えです。
ただリンゴの形もしっかり取れないので今後は教室のテキスト通りに描いてもらおうと思います。笑
なんで形が取れないか見ていましたがトーンつけながら形取るからですね。なんとなーくカゲのトーン(調子)をつけながらなんとなーく形を取る。欧米のアカデミック絵画を教えているアートスクールではそんな形の取り方していませんね。
トーンをつけながら形を取ると形の精度が落ちるのをもう知っているのでしょう。
稜線(ターミネータ)の位置が狂ってると反射光が上手く入りませんね。これ色を使うとき困ります。色味のあるシャドウを作るには反射光の色は大切です。この反射光の位置が狂ってるとどうもしっくりこないのです。
トーンをつけながら形を取るメリットは完成までが早いことです。(時間制限のある受験にはいいと思います。)
完成と言っても形が狂っているので少々強引な仕上げです。形の狂いが気になって後半大きな修正をする人も多いのでは。
そんなときはもうダメですね。物内部の位置(例えばリンゴのヘタの位置や稜線)なども全てズレるわけで大変です。結果的に仕上げまで余計時間かかったりして。
余談ですが鉛筆デッサンで指でこするのはやめましょうよ。汚いです。笑
どこかで指でこすれって教えているのですか。最近外界の情報に全く興味がなくなってしまったのでわかりませんが。
鉛筆のグレーは綺麗です。ただししっかり線でトーンをつけたときにそのグレーの美しさが発揮されます。
描き始めで輪郭はある程度しっかり取った方がいいですよ。そのあとトーンだけに集中できるのでトーンのクオリティが上がります。

床面の話ですね。

画像の説明

赤いラインはエンベロープの一部ですが床面を見るときはもう少し工夫が必要です。黄色のラインがそれですね。
「そんなの知っているよ」と言われそうですが注意が落ちる人が多いので念押しで言っておきます。
「モチーフ以外の部分も形」という認識になると形の精度が上がります。
例えば黄色と赤線でできる台形のような形。これも形です。
空間認識能力とでもいいましょうか。
僕にはこの写真の中で今言ったような形がたくさん観えています。
もはやモチーフの形はそういった不思議な形の中の一つに過ぎません。

抽象画でもデッサン力が必要なのでこういった形への理解が挙げられるような気がします。抽象画の中で何か物を描く。その物の大きさが画面に対して適切かどうかはデッサン力の領域だと思うのです。

あとは傾きの正確性ですね。観るポイントがわかっても傾きがズレていては正しい位置に物を配置することはできません。
僕は普段から描いていなくても目で傾きを測って確認しています。病的ですね。笑 もう癖なので仕方ない。。。

なんで床面についてこんな言っているかと言うと空間作りです。
絵は薄い物に描きますよね。キャンバスでもそんなに厚みはありません。その薄い物の中で奥行きを表現しなければならないので床面はとても大切になってきます。
奥行きに関してもう一つ。静物の物でも奥にあるものは手前にある物より「見えにくい」状況になっています。風景画では遠景はぼかすと遠近感が出ますが静物でも同じです。風景画より距離に差がないのでその分繊細な描き込みの強弱が必要になります。絵は基本的に一箇所一箇所見ながら描きますがたまに全体としてその部分の観え方を観察するととても勉強になります。趣味レベルの人にそこまで求めませんが上に行きたい人はチャレンジしてみてください。

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