木炭の調子について

今日は久しぶりに波がありましたので海に行ってきました。寒いですね。でもメンタル鍛えられていいです。(と言いつつ新調したウェットスーツのおかげで全く寒くないです。投資した甲斐がありました。)
良い波だったので4時間ぶっ続けで波乗りして最高に楽しかったです。
絵の話をしないと…

木炭のトーンの付け方について「乾いた調子」と「湿った調子」という指導がされているようです。調子をタッチと置き換えてもかまいません。明部には「乾いた調子」、シャドウには「湿った調子」ですか。

教室では全く反対の考え方で指導しています。明部には「湿ったタッチ」、シャドウには「乾いたタッチ」です。明部は不透明なので湿ったトーンを乗せないと存在感や物質感が出ません。「乾いたタッチ」を明部に使うように指導されていることが多いと思いますが、「乾いたタッチは」は下が透けるので透明な塗りになります。本来ならシャドウが透明ですよね。固有色の上に透明なシャドウがかぶっていると考える方が観えたモノに近いはずです。

巨匠の木炭画を見ると乾いたタッチも湿ったタッチも気にしないで描いているように思えますが頭の中では不透明、透明の概念がありそうです。この感覚がないと油彩に持ち替えたときに混乱します。あまり気にしない人が多いようですが油彩を扱うのに絵具の不透明、透明の選別はかなり重要な要素になってきます。デッサンのうちから意識付けしておいた方が上達がスムーズだと思います。

余談ですが指導している中で気になることがあります。感覚的に木炭は8Bぐらいの濃さの鉛筆だと思った方がいいかもしれません。ちょっと紙に触れただけで木炭が乗りますよね。最後の描き込みのときにに弱い筆圧で木炭を直塗りする人が多いですが、これでは濃すぎたり、木炭が乗りすぎるパターンが目立ちます。描き込みのときは擦筆(サッピツ)を使いこなしましょう。部分的に少し濃くするぐらいなら擦筆に木炭をつけて描くだけでこと足ります。擦筆が汚れたらヤスリで綺麗にしてあげましょう。汚れたらポイではかわいそうですね。僕は何年も同じ擦筆を使っています。

不透明、透明の感覚は透明水彩で描くときにも必要になります。
「透明水彩だから全部透明じゃないの?」と言われそうですがそういう意味ではありません。
透明水彩でも不透明絵具が含まれていますがこれとも違います。

透明水彩の上手な人の絵を遠くから見ると油彩で描いているように錯覚することがあります。これは不透明的な塗りがあるからです。具体的にはムラのない均一なウォッシュがベースとして塗ってあるからです。例えば白い壁をウェットインウェットで塗ると存在感のない壁になります。ムラのないウォッシュをかけた方がしっかりとした壁ができます。これが不透明な感覚です。

いずれにせよデッサンにおける考え方は絵に出てきます。
指導する中でデッサンは美意識を磨くものとつくづく思います。
形を取る練習など全ての画材でやりますし、トーン(明度)の理解もデッサンでなくてもある程度できてしまいます。
「デッサンをやめてはいけない」の本質はアーチストの美意識を高めることにありそうです。

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