鉛筆は奥が深い…

一般的な指導ではモチーフの背景が紙の白のまま残すこともあるようです。
白い物で少しでも色味を感じたらトーンを持っているということです。
なので背景を白で残すということは再現デッサンをする上で成立しません。

鉛筆は非常に難しい画材です。
個人的な意見ですが透明水彩が一番難しくその次に鉛筆が来る印象です。手軽さに騙されてはいけませんよ。笑
鉛筆デッサンがどのようにペインティングに活かされるのかというのもよくある質問です。
鉛筆で塗る(トーンをつける)のと筆で色を塗るのでは距離が遠すぎて理解できないかもしれません。
そこで木炭デッサンを薦めますが挫折する人が多いです。鉛筆より描けなくて苦しいのでしょう。
だからデッサンがペインティングに活かされないのです。
具体的に言うと面、あるいはゾーンで描く感覚がないからです。

鉛筆はトーンのつけ方がかなり豊富で習熟するのに時間がかかります。
CHULAPOでは背景などモチーフ周辺までしっかりトーンをつけるよう指導しています。
これは微かなトーン変化を感じる感覚と鉛筆に慣れるようにするためです。
グレーに対して敏感になってくるとそのわずかな違いのトーンを感じるようになります。
イラストなどはトーンの数が少ないので問題ありませんがハイアートになると必須ですね。

鉛筆は引っ張った線の数に比例して洗練されていきます。
背景にトーンをつけることはそのエクササイズでもあるわけです。
モチーフだけ描いているとなかなか伸びのある線を引けるようになりません。
失敗を恐れておもいっきり線を引けませんからね。
プレッシャーのかからないところで伸び伸び線を引く感覚が身に付けば当然モチーフにトーンをつけるときにも活きてきます。
反対に目的意識もなくメンドクサイと思いながら背景にトーンをつけていてはその精度がモチーフを描くときにも影響してきます。

伸びのある線、芯のある線を引ける引けないはスケッチなどの短時間で描くときに差が歴然になるものです。
たまに「サラッと描いて雰囲気のいい絵を描けるようになりたい」という人がいますが絵はそんなに甘いものでもありません。
簡単に描いているようでも上手い人はたくさんの時間をかけて無数の線を引いてやっと描けるようになっているのです。

修行のように感じるかもしれませんがそんな堅苦しいものではありません。
気になるものがあったら描いてみる、それだけです。
グダグダな絵で終わることがダメだと思う風潮がありますが枚数勝負の世界なのでそんな考えだとたくさん描く人にどんどん置いていかれてしまいますよ。

鉛筆の話ですね。
線の引き方はどうでもいいです。頭より手をたくさん動かしましょう。
鉛筆を寝かせるのか、筆圧を弱めるのかなど考えながら描いていても良い絵は描けません。
そんなものは日々のスケッチで失敗を繰り返し自然に体に覚えさせましょう。
絵は座学ではありません。引いた線の数だけが答えを教えてくれます。

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