練り消しの使い方2 光を与える!

デッサンでトーンをつけるときに明るいところを残しながら描き進めることもあります。
一般的な指導ではこの考えが普通かもしれません。
私的にはこの考え方には大きなデメリットがあってこういった指導はしていません。
固有色の存在が弱いからです。色を使うときにも都合が悪くなります。

ハーフトーンという言葉は固有色を意識していると思いますが曖昧なので教室では使わないようにしています。物は直接光が当たっているか当たっていないかの二択です。

モチーフの明るい部分は固有色をしっかり乗せたあとに練り消しで回復した方が絵が壊れません。
一つのモチーフなら問題ないかもしれませんが、3つ4つあるモチーフのセット全体の光の量を調整しながら一つずつ描くのはかなりハードルが高くなります。

サンプルを見てみましょう。

IMG_4013.JPG

ほぼベタ塗りで固有色とシャドウを乗せた状態です。
ハイライトやシャドウ内の反射光はいれていません。
一般的には明部の明るさや反射光が入っていると思いますがビギナーはこの辺でで混乱して苦しくなってくるのではないでしょうか。


IMG_4014.JPG

画面全体を見渡しながら練り消しでトーンを上げて光を与えます
光の量は光源との距離と向き合う面に対して敏感です。
とても繊細なトーン変化なので「シャドウを塗りながら~」など片手間ではできません。
シャドウ内の明るい部分は反射光なので光を与えるという意味では明部のハイライトと同じ感覚です。
床も全体を見ながら明るくします。

練り消しは絵に光を与える魔法の画材です。



「どこに行っても習うことは同じ」と聞くことがあります。
内心では「わかってないなぁ」と思いますが、絵は考え方、捉え方で大きな差があります。
表面的に同じことを指導されても出来上がった絵はやはり違うのです。

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