形を正確に取る限界

ビギナーの人、ある程度経験のある人でも形を取るときに傾きや長さを測ったりすることはとてもいいことだと思います。
「どこの形が狂っているかわからない」とよく言われます。
形のズレに気付けないときは指導者の出番ですね。
ただ、自分でも傾きなどたくさん測って間違えに自発的に気付くことが大切です。

上級者になると形のズレも微々たるものになってきます。
数ミリ単位とかけっこう厳しい世界に突入していくわけです。
この領域になると傾きを測るなどのツールももはや通用しなくなると思います。
つまり最終的には感覚的に形の狂いに気付けないとバチッと決まった形にはなりません。

いやそんなことはない!という人がいましたら、体をガチガチに縛り付けてノイローゼ覚悟で傾きなどを測り続けてみては。
描いているとどうしても頭は動きます。頭を固定しようとしてもモチーフとイーゼルを往復しているうちにズレます。背筋も緩んでこれでは前後左右にけっこう移動していますよね。
これでは数ミリ単位の形の修正に限界がきます。

ここだけの話、スペインの美術学校で「測るな」という指導を受けていました。周りの生徒さんは測っていましたが、私は測ることをなるべくしないようにしました。
測って形を取ることに限界を感じたからです。
どうしても「なんか違う」が残るのです。
それからは形に対する自分の感覚を研ぎ澄ませることにしました。
このことはスペイン人に聞いても同意していたと思います。

教室のサンプルで描く絵はわざと測った形跡を残すように描いています。
ビギナーの人には以上の話はわけがわかりませんからね。
自分の絵のときはあまり測った線などは残っていません。
イメージとしては観た形を脳に焼き付けてそのままダイレクトに描き写すような感覚です。

ちょっと難しい話になりましたがここまでやってくださいとは言いませんから楽しく教室で描いてくださいね!

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