画用液について

油彩の話になると画材博士みたいな人が出てきますね。
画家というよりもはやオタクの領域です。

私はノーマルのペインチングオイルを使いません。
余計なものが含まれすぎているので嫌なんです。
古典的な描き方出身なので色々と画用液を試しましたが、今は基本的にリンシードオイルとテレピンしか使いません。層によって油の量をコントロールできるメリットもあります。Fat Over Lean(ファットオーバーリーン)の原則は大切だと思います。ペトロールも使いますが中に含まれる硫黄が反応するとの話もあります。ただ今の精製技術なら問題ないそうです。
画面の光沢にも流行りがあります。反射で絵がよく見えないぐらい光沢があったり、つや消しマットな時代だったり。

どの本読んでもダンマル樹脂とシッカチフは絵のダメージになると言っています。
知っててあえて使う必要もないでしょう。
油彩は何層も重ねると絵具をはじいてしまいます。そのときだけは仕方がないのでダンマル樹脂を少し使う程度です。
私はなるべくキャンバスに近いところでフィニッシュしたいので重ね塗りはあまり好きではありません。なのでダンマル樹脂の登場はほぼないです。
乾燥促進剤のシッカチフを使って絵にダメージを与えるぐらいならアクリルでいいのでは。もしくはプロセスに問題ありで早く乾かして何層も重ねないといけない状況になってしまっているとか。
ファンエイクが油彩を完成させてから時代が進むにつれて保存状態が悪くなっています。不必要な厚塗り、溶剤の乱用がその原因と考えています。

油彩の絵具はすでに油で練られています。画用液は画面に絵具を定着させる、あるいは筆の伸びを良くするために使う程度で充分ではないでしょうか。

好きに描くのはいいですが自分が丹精こめて描いた絵はやはりなるべく良いコンディションでいてほしいものです。
「自由に描く」の自由は必要最小限のルールを守って成立することでは。なるべく絵のダメージになるものは避けた方がいいと思うのです。買ってくれた方への感謝もあります。購入後、数ヶ月で壊れる商品は完全に不良品です。

いずれにしても画材、画用液にこだわりすぎると目的が変わってきます。
度々言ってますが執着するのは絵の中身の方です。

コメント


認証コード1009

コメントは管理者の承認後に表示されます。