輪郭線の存在

形を把握するとき始めは輪郭線を見ます。しかし厳密には輪郭線は存在しません。下の画像を見てください。正面からだとあたかも輪郭線があるように見えます。しかし横から見ると何も輪郭線らしきものはありません。

画像の説明

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輪郭線といわれるものはトーンの違いで認識された境界にすぎません。
よく背景や床に紙の白を残したままリンゴのデッサンを教えているのを見かけます。
これが悪いとは言えませんが本来のモノの見方とは違います。リンゴの形が見えるのは背景と床の関係によるものです。
スケッチで簡単に描くときは輪郭線に頼りますが、しっかり描くときは隣り合ったもの同士の関係性を把握しましょう。

輪郭線の概念があるとペインティングで引っかかります。
ペインティングでは描き始めを除き基本的に細い筆で輪郭線を描きません。トーンの差で輪郭を浮かび上がらせる感覚が必要となります。
木炭やコンテなどのスティック画材に慣れることで自然と輪郭線を放棄する感じがつかめると思います。

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モノは見え方なので輪郭線のない絵も全く問題ありません。
ぼんやりとした輪郭だったらそのまま描いてしまいましょう。

左はスーラのデッサンです。スーラは点描で有名ですがしっかりとしたデッサン力があります。
左腕周辺はしっかりと形を出していますが、下半身はきっちりとした輪郭線は見当たりません。

境界でコントラストをしっかり観察することは大切ですが、無理にコントラストをつける必要はありません。
コントラストが弱い境界は弱いなりにそのまま描きましょう。

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